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総合歴史学科授業・課外研修など

韓国研修旅行記

2024-03-27

  総合歴史学科2年

村上未有

 

 今回、私は研修旅行で韓国を訪れた。約1週間の研修で多くの遺跡を訪れ、食文化や伝統に触れた。その中で感じたことや伝えたいこと、印象的だったことを遺産、観光地、食事の面から紹介したいと思う。

    

 韓国に到着してまず訪れたのは公山城である。百済時代に建てられた公山城はユネスコ世界遺産にも登録されており、石垣から成る城壁は荘厳で大きな存在感を放っていた。また、城壁の上は狭く、角度が急であることからも防衛に特化した城であると認識できた。2日目に訪れたのは陵山里古墳群である。百済第25代王の武寧王とその王妃が合葬された王陵があり、公山城と同じくユネスコ世界遺産に登録されている。武寧王陵と王陵園にはドーム状の天井が特徴的な横穴式石室墳とレンガ造りの塼築墳があり、その数と大きさは当時の武寧王の強さと権威を表していた。すぐ横にある百済古墳模型展示館では、武寧王陵の内部が細かく再現されていたり出土品が展示されていたりなど、外側からは知ることのできない部分を覗き見ることができ、煌びやかな副葬品からは当時における美、芸術観を感じることができた。その中でも私が特に気になったのは鎮墓獣である。鎮墓獣は中国の後漢時代から見られる神獣を表した空想上の動物で、今回の研修旅行で訪れた場所の至る所に鎮墓獣のオブジェがあったため、強く印象に残っていた。角と翼が生えており、墓の中や前に置くことで、悪鬼を追い払い、死者の魂を神仙の世界に導く役割を果たしている。

 次に、自由時間に訪れた松月童話村について紹介する。この村はほとんどの建物にイラストが描かれていたり、至る所に可愛らしいオブジェが置かれていたりなど、村全体がフォトスポットになっており、まるで童話の中に迷い込んだような体験をすることができる。近くにはチャイナタウンがあったり韓国料理で有名なジャージャー麺の博物館があったりと、一日中満喫できる活気に溢れた楽しい村であった。

 食事について、韓国料理といえばキムチやトッポギなど、辛い物が多いというイメージを持つ人が多いのではないだろうか。実際、私もそのようなイメージを持っており、食べられるか不安な気持ちがあったが、そんな心配はいらないくらい美味しい料理で溢れていた。韓国に来て一番初めに食べたのはカルグクスである。カルグクスとは、小麦粉を原料とする平麺を鶏肉や煮干し、アサリなどの色々な食材でとっただし汁に入れて煮込んだ麺料理であり、うどんに近い料理である。アサリや野菜など具材が沢山入っていて食べ応えがあり、少し塩味のある素朴で優しい味であった。そして個人的に一番美味しかったのがポッサムである。ポッサムとは、豚の腹部分の肉を生姜や玉ねぎなどと一緒に茹で、ニンニクやキムチと一緒に葉野菜に巻いて食べる料理のことである。茹でているためヘルシーで、豚肉本来の甘さを味わうことができた。カルグクスとポッサムは共に研修旅行を行った友人達にも大人気で、あっという間に完食していた。スイーツで美味しかったのはケランパンである。ケランパンは韓国の屋台でよく売られているパンで、上に卵が乗っている。一見ご飯系のパンなのかと思いきや、生地がホットケーキのように甘く柔らかかったため驚いた。甘めの生地と卵の相性が非常に良く、美味しかった。

 今回の研修旅行で感じたことは、授業で学んだ遺産は実際に見るとイメージが全く異なるということである。これは遺産に限らず、韓国の食文化や人の雰囲気、街の雰囲気などもそうである。知識としては知っていても実際に行くとイメージと異なっていたり、自分の中の常識が覆されたりと、驚きと発見でいっぱいだった。知識を得ると無意識に勝手な偏見・イメージが付随してしまう。それは仕方のないことではあるが、実際に自分の体で見、聞き、触れることが何よりの知識であると感じた。また、私は中学3年生の頃から独学で韓国語を勉強しており、ある程度身に着けることができたが、実際に韓国人の方と話す機会がなかった。今回の研修旅行では沢山の韓国人の方と話すことができ嬉しい反面、聞き取れない単語や伝わらなかった単語がいくつかあり、悔しい気持ちともっと話せるようになりたいという気持ちが強くなった。今回の経験は、成長へと繋がる大きな一歩になったと思う。研修を通して参加した学生との距離も縮まり、長いと思っていた1週間も最終日にはまだまだ足りないと思うくらい短く感じるようになっていた。それくらい、韓国の魅力は計り知れない。少しでも興味のある人がいたら、ぜひ一度訪れてみてほしい。最後に、今回の研修を無事に終えることができたのは、楽しく安全に研修できるようサポートしてくださった賈先生のおかげである。そして、このような機会を設けてくださった賈先生、学校関係者の方々に心から感謝したい。