学長メッセージ

就実大学・就実短期大学
学長 片岡 洋行

就実大学・就実短期大学沿革

本学は、115年の歴史を持つ就実学園を母体に、1953年に就実短期大学が設立され、1979年に4年制の就実女子大学が開学し、その後、1999年に大学院を併設、そして2003年に就実大学への名称変更、学部、学科の増設、男女共学化が図られました。現在、就実大学は人文科学部、教育学部、薬学部と昨年開設された経営学部の4学部からなり、大学院は人文科学研究科、医療薬学研究科、教育学研究科の3研究科からなり、人文科学系、社会科学系、自然科学系からなる岡山県内でも有数の中核的私立総合大学として発展しています。

建学の精神と教育目標

本学の建学の精神は「去華就実」ですが、これは1908年に発布された戊申詔書(天皇の言葉)の中に出てくる「華を去り、実に就く」の漢語表現であり、「就実」の校名もここから来ています。この言葉には、外見の華やかさに心奪われるのではなく、内面の豊かさや知性、社会に貢献できる実践的な能力などをまず身に付けること、といういつの世にも通じる高い志が込められています。すなわち、表面的な知識だけを身に付けても、自分自身のあり方を考えることには繋がりません。従って、皆さんが自律的・主体的に学修し、探究する経験を学生生活の中で体得することで建学の精神を身に付け、夢の実現に向けて新しい道を切り拓くことを期待しています。
一方、本学の教育目標は「実地有用」ですが、その時代に必要とする知識・技能や実学を修めることで、当面している場面状況に応じて的確に判断し、行動できる実践的で創造的な人材育成を目指しています。すなわち、社会変化に対応して主体的に学び、自らの頭で考え、自らの心で感じ、身に付けた知識や技能を活用して社会に貢献する「知性」を持った人材の養成に努めています。

大学で学ぶための心構え

大学では、それぞれの専門知識や技能を身に付けることはもちろんですが、それだけでは社会では通用しません。社会が求めているのは、大学で様々な経験をして汎用的能力を伸ばし、どのような状況でも生きる力を身に付けた人です。これからは、「大学卒」という肩書よりも、学生時代に何を学び、どのような力を身に付けたかが重視されます。大学は、授業だけでなく正課外活動や留学など様々な体験の機会があり、学ぶことをトレーニングする場でもあります。そこで、多様な学びの機会を通して自分自身を磨き、主体的な学びで自身の行動を変え、学んだことを社会で活用できるよう、次の三つのことを実践していただきたいと思います。

1:読解力を身に付けること

これからは「AIが普及し人間の仕事の半数がなくなる」と言われていますが、AIは人間のように話を理解したり、文脈を読んだりするなど、人間が持っている常識や経験に基づいた判断力はまだ弱く、自ら問いを立てる事も、直感や発想もできないと言われています。AI時代には、幅広い知識や基礎力をしっかり身に付けるだけでなく、課題の本質にいち早く気づいて解決法を編み出すなど、AI ができない人間的な能力を磨くことが大事です。
しかし、最近、文章が読めない、書けない、話せない、質問ができない学生が増えています。知識は言葉として詰まっているのに、文章の意味や相手の意見を理解するなどの「読解力」が不足して、自分の意思を他者に伝えることができないのです。テストも問題文が正しく読めなければ解くことはできないでしょう。また、全国大学生協連の調査によると、「大学生の48%が読書時間ゼロ」だそうで、スマホやメールの短文ばかり読んでいるようでは「読解力」が身に付くはずがありません。そこで、「読解力」を付けるために、読書や新聞を読むこと、メモを取ることをお勧めします。読書をすれば、語彙力や創造力が高まり、視野が広がって話題も豊富になります。また、メモを取る習慣は授業のノートを取る力になります。相手の話を集中して聴く態度が身に付くだけでなく、話の内容の本質を理解し、情報を取捨選択する能力にも繋がります。さらに、メモをまとめることで、中身が明確になり、質問力が磨かれ、文章力や表現力も身に付きます。早速、オリエンテーションからメモを取るようにして下さい。

2:目標を持って諦めずやり抜くこと

朝のNHK連続テレビ小説「まんぷく」のモデルとなった日清食品創業者の「安藤百福」は、世の中を明るくしたい、世の中の役に立つことはないかと考え続け、失敗の連続の中からインスタントラーメンを発明しました。終始一貫した目的を持って、途中で諦めなかったことが成功に繋がりました。粘り強く物事に取り組めば、いずれ必ず勝機が訪れます。私たちが失敗するのは粘り強さが足りないからで、失敗は諦めたときにやってきます。逆に言うと、諦めなければ失敗ではないということです。
先日、大リーグのイチロー選手が現役を引退しましたが、成功している人の共通点は何かというと、「常に好奇心と勇気を持って困難な問題に挑戦し、諦めずにやり遂げていること」です。そして、その成功の陰には、多くの失敗があり、多くの努力が払われています。イチロー選手は、「最初から無理だと思ってやらなければ後悔するだけで、やりたいと思ったら挑戦することだ」と言っています。そして、挑戦するときは小さいことでも日々の努力の積み重ねが大事で、やり抜く努力をすれば、壁を乗り越えたときに大きな自信に繋がります。学生時代には失敗を恐れず、目標を掲げていろんなことに挑戦して学び、成長することを期待します。

3:学び続ける力を身に付けること

「人生100年時代」には、学ぶ時期、働く時期、老後という伝統的な三つのステージの人生から、学ぶと働くが相互に行き来するマルチステージの人生モデルに変わると言われています。東京商工リサーチの調査によると会社の平均寿命は23年半と言われており、人が働く期間を約50年とすると、これからは転職も当たり前となり、それぞれのステージで自ら人生設計をしなければならなくなります。すなわち、働き方が変わると、今まで学んできたスキルが役に立たなくなるので、社会に出てからも学び続け、学びながら働くことが当然の時代になります。そこで、学び続ける上で大切なことは、分かったつもりにならないこと、知らないことに気づいたら調べたり質問をしたりすることです。自分の「無知」を素直に受け入れられるかどうかが大きなポイントです。大学では、毎日が学びの連続ですので、一日一日の努力の積み重ねが大切です。「大学で勉強しない学生は、社会に出ても役に立たない」と言われますが、大学で学びをやめたら社会でも成長できるはずがありません。在学中に「学び続ける力」をしっかり身に付けて下さい。

新入生の皆さんは、今日から本学の学生として大きな一歩を踏み出します。「何事もスタートが肝心」ですが、入学時に学力が高くなくても、一年生の間に学ぶ楽しさを体得すれば、意欲的に学べるようになり、卒業時に高い学力を得ることができます。本学で学ぶ期間は、長い人生で見るとほんの一瞬ですが、大学時代は皆さんの人生の基礎を築く極めて重要な時期であり、時間の使い方を最も自由に決められる期間でもあります。卒業後、就職あるいは進学するにせよ、皆さんが本学で「何を如何に学んだか、何ができるようになったか」が重要です。失敗を恐れず情熱を持って最後までやり抜くこと、地道な努力を続けていけば、人は必ず成長します。未来社会を生き抜くためにも、基礎力を身に付け、将来に大きな夢と高い志を持って、新しい道を切り拓いて下さい。そして、大学時代に生涯の友を得ることができれば、大学生活が本当に価値あるものとなるでしょう。良き教師、良き友人と出会い、本学における学生生活が、将来素晴らしい人生の一コマとして、思い出されるような意義深いものとされることを祈念します。

(平成31年度入学式より)