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平成22年度笠岡市民大学教養講座

2011-03-28

【笠岡市民大学教養講座 第5回】
 タイトル: 詩歌でめぐる岡山文学散歩-与謝野鉄幹・晶子、薄田泣菫ほか-
 日  時: 平成23年3月26日(土)
 場  所: 笠岡中央公民館
 講  師: 加藤 美奈子(短期大学 文化コミュニケーション学科 講師)
 

岡山には現在、与謝野鉄幹・晶子の歌碑が7箇所に建立されています。昭和4年の訪問により、新見の「満奇洞」、井原の鬼ヶ岳に2箇所。昭和8年、正宗敦夫 の招きで訪れた日生に2箇所、湯原・奥津温泉・津山の3箇所です。講演では、これらの歌碑・旅行詠を紹介するとともに、特に鉄幹・晶子と関わりのある岡山 ゆかりの文学者を紹介しました。鉄幹の師・落合直文に学んだ津山出身の歌人・尾上柴舟。柴舟の起こした「車前草社」に参加した、邑久出身の詩人・正富汪 洋、岡山で教鞭を執った詩人・有本芳水。鉄幹・晶子と親交のあった倉敷出身の薄田泣菫については、吉備地方文化研究所による倉敷市所蔵の泣菫資料調査・撮 影事業についても紹介しました。笠岡出身の木山捷平については、地元の3箇所の詩碑・歌碑、生家をたどりながら、福山の井伏鱒二との交流、捷平の詩を見出 した鴨方出身の詩人・赤松月船らを紹介しました。

【笠岡市民大学教養講座 第4回】
 タイトル: 健康食品との上手なつきあい方
 日  時: 平成23年3月12日(土)
 場  所: 笠岡中央公民館
 講  師: 阿蘓 寛明(薬学部 薬学科 助教)

「健康」という冠をかぶった食品があります。ただの食品ではなく、なにか大きな使命を持っているように感じられるこの食品、いったい何者でしょうか。健康 食品の定義から始まり、食品と医薬品の立ち位置、健康食品の活躍するポジションと使うべき時、偽の冠をかぶった物の恐ろしさ、健康食品による被害まで、短 い時間でしたが駆け足で紹介させていただきました。体を大事に思い、食生活について考え直すことは非常に大事なことです。間違った情報や「高かろう良かろ う」に振り回されることなく、必要な健康食品を選ぶ助けになれば幸いです。

 

 

【笠岡市民大学教養講座 第3回】
 タイトル: マラソンの歴史と岡山
 日  時: 平成23年3月5日(土)
 場  所: 笠岡中央公民館
 講  師: 櫻田 美津夫(人文科学部 総合歴史学科 教授)

岡山は、陸上競技のなかでも特に女子マラソンや、女子駅伝の分野で、すぐれたランナーやチームが多い。実は日本で初めて「マラソン」の名を冠して開催された「阪神間20哩長距離走」(1909年)で優勝したのも岡山、西粟倉村の金子長之助であった。
こ の競技会開催のヒントになったのが、1908年のロンドン・オリンピックのマラソン・レースで、この折にはゴール間際で実に劇的な光景が展開された。初期 のオリンピック・マラソンは競技として未成熟であったため、ドラマやエピソードに事欠かない。マラソンの起源になった古代ギリシア史の一こまと、マラソン 草創期のこぼれ話を中心にお話しした。

【笠岡市民大学教養講座 第2回】
 タイトル: 受領名官途備中守と陶山氏について
 日  時: 平成23年2月26日(土)
 場  所: 笠岡中央公民館
 講  師: 田中 修實(短期大学 文化コミュニケーション学科 教授)

古代の国司制度は、江戸時代中期の名奉行大岡「越前守」の称号に見られるように、形式的には近世にまで存続する。古代の実態的制度と近世の形式的制度と の過渡的転換点に当たるのが中世(院政期~戦国期 11-16C)で、その事例として笠岡の土豪陶山備中守(南北朝時代)を見る。
古代の国司制度は、律令制の官位相当制に基づいて四等官(守・介・掾・目)があった。地方官は中央(奈良・京都)から派遣されるが、10世紀頃から現地に赴任しない遙任や官職が利権化する売官などが横行し、現地に赴任する国司は受領と呼ばれる。
中世になると国司制度そのものは事実上崩壊し、「国」(備中国など)が利権化する知行国制、国司が名目化する名国司制、鎌倉幕府による国ごとの守護制度などによって、やがて南北朝時代には「守護=国司」の観念が生まれる。
陶山氏は史料的には平安時代院政期・鎌倉時代から室町時代まで現われるが、いずれも時の政権である平氏政権・鎌倉幕府(御家人)・室町幕府(奉公衆)と密 接な関係を保つ。その性格は、鎌倉時代には豊前国、南北朝~室町時代には備中国笠岡港と後背地陶山庄を拠点とする瀬戸内海上運輸領主(国人領主)として位 置づけられる。
『太平記』は、鎌倉幕府滅亡時に六波羅(幕府)方についた陶山二郎の活躍を描くが、後光厳天皇から備中守に任ぜられ、地方武士が 国司に任官したことは、武士たちから武門の名誉として大いに賞賛され羨まれたことを伝えている。この任官は、備中国を実効的に把握する行政官としてという よりは、地方長官(「守」)としての権威(地位)の象徴としてであり、このことが備中国笠岡(陶山庄)を拠点とする陶山氏にとって、その後の瀬戸内海にお ける広域的活動の発展展開に大きく作動し効果があった、と考えられる。

【笠岡市民大学教養講座第1回】
 タイトル: 歌い継ごう,日本の歌
 日  時: 平成23年2月5日(土)
 場  所: 笠岡中央公民館
 講  師: 藤井 貞子 (人文科学部 初等教育学科 教授)
                古山 典子 (人文科学部 初等教育学科 講師)

初等教育学科講師 古山典子による講演 

「歌い継ごう,日本の歌」と題して,小学校学習指導要領で「共通教材」として指定されている歌曲について解説を行いながら,実際に歌い,味わいまし た。昭 和33年の第3次学習指導要領から,曲目の変更を経ながらも,現在まで指定されている共通教材は,音楽科において指導すべき歌として位置づけられています。

初等教育学科教授 藤井貞子によるピアノ伴奏 

音楽は,旋律の形や音色,リズム,強弱などで形づくられていますが,それらの要素が複合して一人ひとりの経験と結びつくことで,何らかの感情を引き 起こす 力をもっています。とりわけ歌曲の場合,歌詞そのものが示す内容が共有性をもっている時,より一層人々の感情を揺さぶるものとなります。それゆえに歌曲 は,それぞれの人にとって重要な出来事を再経験させる機能をもっていると考えられます。
私たちが接している言語や音楽などの文化は変容していま す。しかし,その中にあっても,日本の風土や文化の中で育まれ,伝承されてきた歌は,日本人としてのアイデンティティを再認識させる力をもっていると考え られます。講座を通して,日本人として歌い継いでいくべき歌が確かに存在することを,再認識することができました。