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教育学専攻その他

公認心理師の実習で『心理教育』を行いました

2023-01-14

教育臨床心理学コースの公認心理師の実習では,修士1年生が,9月から12月,学校や児童生徒支援教室に毎週訪問する実習を行っています。実習では,子どもたちと関わりながら心理的な見立てを検討することはもちろんですが,『心理教育』ショートプログラムを立案・実施することが,就実大学大学院の実習の特徴になっています。

これは,公認心理師の業務の1つが「(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」となっているためで,カウンセリングだけでなく,心の健康について,心理師から発信する力を養うものとなっています。

最近では,スクールカウンセリングでも,人間関係や社会性を促進する心理教育(心の授業など)が業務として求められています。

12月16日に,実習先の小学校で,修士1年のNさんが行った心理教育ショートプログラムをインタビュー形式で紹介します。

 

 

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Q:どんなことを伝えるプログラムだったのですか?

A:「体とこころがつながっていることを理解する」という目標で行ったプログラムでした。日々生活していく中で,どうしても受け入れがたいことに対して気持ちが高ぶって集中できない様子を観察から感じていたので,子どもたちが本来の力を発揮できる場面が少しでも増えたらいいな,という思いでプログラムを考えました。怒っているとき,不安なとき,リラックスしているとき,体はどんな状態かを考えるワークシートを作り,筋弛緩法や呼吸法を用いた後の体の状態がリラックスしていることをワークシートと比較しながら一緒に確認できたと思います。

 

Q:実際にプログラムを子どもたちの前で行って,いかがでしたか?

A:正直,とても緊張しました。また,この緊張が伝わったり,普段は授業をしない先生が授業をするということもあり,子どもたち自身も緊張しているように思いました。ここでどんな反応が返ってくるかな,と子どもたちの様子を想像しながらプログラムを作りましたが,予想外のこともありながら,その雰囲気も含めて楽しませていただきました。1対多人数で授業に似た形式を初めて実施してみて,反省点も見つかりましたが,1対1のときとは異なるコミュニケーションを体験させていただき,勉強になりました。

 

Q:準備から実施までで苦労したことは何ですか?

A:私が伝えたいことをどうやってわかりやすく伝えられるのか,ということに苦戦しました。例えば,リラックスしている状態ってどんな状態かわかるのかな,うまく伝わるかなという部分に悩んでいたため,先生と子どもとのかかわりの中で先生がどういう言葉で表現しているだろうという点に注目し,最終的にリラックスをくつろいでいるという言葉に置き換えて実施しました。

 

Q:プログラムを実施して,よかったと思うことは何ですか?

A:長期間にわたって子どもたちと関わっていく中で,1からその子どもの様子を把握し,こういう力がつけられればもっと生活しやすくなるのではないかという思いをプログラムを通して子どもたちにフィードバックできた点が,自分の中で非常に意味のある体験になったと思います。また,実際に教壇に立ってみてプログラムを行ったことで,スクールカウンセラーと連携していく先生の視点が体験できた点もよかったと思います。

 

Q:ありがとうございます。最後に,実習全体を通して,心理師の卵として学んだことを教えてください。

A:実習全体を通して,多職種連携が実際に行われている様子とその重要性を学ぶことが出来たと思います。週に1回という実習で,回数を重ねるごとに子どもたちを取り巻く状況や子どもたち自身も変化し,今なにが起きているのか自分自身の見立てを更新していく必要がありました。そのために,お話しできるタイミングで先生に聞いてみたり,休み時間には校内を回って様子を見てみたりと,主体的に行動することができたのではないかと思います。また,先生方も毎回異なる問題に奔走し,学校をよりよくしていこうとする姿をたくさん見せていただきました。その中で,子どもたちに合わせて寄り添いながら支援を行っている様子や,それに伴い情報共有が密に行われており,重要性を改めて実感できた実習でした。

 

Nさん,ありがとうございました!

実習を受けれて下さった小学校の先生方,スクールカウンセラーの先生,本当にありがとうございました。