吉備地方文化研究所イベント
2023-06-19
2023年6月17日(土)、忍者研究の第一人者 山田雄司氏(三重大学 人文学部 教授)をお招きして、下記の講演会を開催いたしました。
日時:2023年6月17日(土) 13:00~15:00
場所:就実大学 S101講義室(オンライン形式とのハイブリッド)
講師:山田雄司氏(三重大学 人文学部 教授)
演題:「服部半蔵の虚像と実像」
講演は、大河ドラマ「どうする家康」における服部半蔵の活躍について触れたのち、文献資料における虚構と実態の腑分けをし、以下のような結論を提示するものでした。
・服部半蔵が初めて歴史に登場すると言われる「三河国上郷城攻め」において、実際には近江国甲賀郡の者たちが武功を立てたのであって、伊賀者は関わっていないと思われる。
・徳川家康の「伊賀越え」において、服部半蔵が家康に付き従っていたのは事実らしいが、彼はそもそも三河国の出身であり、伊賀国の事情には詳しくなかった。これも実際には近江国甲賀郡の者たちが、土地勘にもとづいて手引きをしたものと考えられる。なお、甲賀郡は近江国の中でも伊賀国に付属すると考えられていた節があり、伊賀者と甲賀者はあまり区別されていなかった可能性もある。
・上記の虚構が成立したのは18世紀初頭(享保年間)のことであり、徳川吉宗による御庭番の設置により、その立場が危うくなった伊賀者たちが、徳川家康の時代に遡って自己の役職の正統性を主張するため、服部半蔵の超人的な事績を創りだしたと考えられる。
伝説的な服部半蔵の事績について、大きな変更を迫る講演と承りました。
講演後、会場およびオンラインの参加者から活発に質問が寄せられ、山田講師はそれらに丁寧に回答されていました。時機に合った意義深いご講演を頂いた山田氏には、衷心より御礼を申し上げます。
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