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就実公開講座後期第2回 平成30年9月8日(土)

2018-09-10

「『グレート・ギャッツビー』におけるギャッツビーのパフォーマンス」

 

 長瀬 恵美(人文科学部 実践英語学科 教授)

 

 

 

 後期第2回の公開講座は、長瀬恵美教授の「『グレート・ギャッツビー』におけるギャッツビーのパフォーマンス」であった。
スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャッツビー』が刊行されたのは1925年。当時、アメリカは大量生産・大量消費の時代を迎え、映画やジャズといった新しい文化が流行し、さらにはフラッパーと呼ばれる新時代を象徴する女性も現れた。まさに怒濤/狂乱の時期に、この名作は生み出されたのである。長瀬教授のお話は、作品を理解するための前提としてこうした文化的背景を押さえることから始まった。
そして作品理解のためのもうひとつのポイントは、コミュニケーションの方法である。メラビアンの法則に基づけば、コミュニケーションにおいて言語情報が占める割合はわずか7%にすぎず、人間はコミュニケーションの実に9割以上を言語以外のものに頼っているという。この点に鑑みれば、いかに美しい言葉で飾り立てても、その人の本質がそこに表れるわけではないということになる。
以上のことを踏まえた上でギャッツビーの人物像を捉えてみると、何が見えてくるだろうか。過去の恋人デイジーの心を再び自分に向けさせるため、大邸宅に住み、派手なパーティーを繰り返し、偽りの自己を演出しようとするギャッツビー。その結果として彼はある悲劇に見舞われることになるが、それは自分の真の姿となりたい姿とのギャップによって、もたらされたものであったといえるかもしれない。
作品の新しい読み方を提唱する刺激的な講義に、受講者たちは熱心に聞き入っていた。