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吉備地方文化研究所 イベント

吉備地方文化研究所 特別企画(講演会) 藤本誠氏「『日本霊異記』と古代日本の仏教」を開催しました。

2018-12-18

 2018年12月15日(土)14:00~ 本学S101教室にて、藤本誠氏(慶應義塾大学)による講演「『日本霊異記』と古代日本の仏教」が開催されました。 
 
 同氏の著書『古代国家仏教と在地社会』(吉川弘文館、2016年)の内容を踏まえ、日本初の本格的仏教説話集である『日本霊異記』がどのように成立したのかを考察する内容でした。


 中央の官大寺と呼ばれる寺院の僧侶は、時に地方寺院の建立に伴う落慶供養などに招かれることがあり、そうした場で説法を行なう必要がありました。僧侶はそれに先立ち、招聘する側の檀越とも相談し、檀越の先祖の情報や一族の歴史、その地域の伝承などを聞き取っていきます。こうした情報を書き上げるにはフォーマットのような書式があり、その典型的な例が「東大寺諷誦文稿」という史料です。『日本霊異記』はそうした史料を集成したものであり、未来の僧侶が説法に用いる話の情報源ともなりました。


 さらに重要なのは、説法における語りが「仏のことば」「仏の教え」として意識されていたことであり、説法に用いる情報を集成する行為自体が「仏のことばを伝える」という営みであったことが解明されました。
 
 講演後には「何でも聞いてみよう」のコーナーが設けられ、参加者から自由に古代仏教への質問を挙げて頂きました。藤本氏はすべての質問に丁寧に答えてくださり、参加者にも良く理解して頂けたようです。