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表現文化学科 その他

公開学術講演会報告:「朗読の魅力」青木裕子氏(元NHKアナウンサー)

2013-11-18

平成25年11月16 日(土)本学R館6階の大講義室にて、本年度の表現文化学会学術記念講演会が開催されました。

 

講師の青木裕子氏は、津田塾大卒業後、NHKに入局し37年間、現場アナウンサーとして活躍されまた方です。22年に退職され、私費を投じて軽井沢朗読館を設立し、朗読の普及に尽力されています。また中軽井沢図書館長を兼任されてもいます。氏は作家でもあり、著書『再婚トランプ』(朝日新聞社)はTBSの昼のドラマとして放映(平成10年)されました。朗読の第一人者として、多くの作品の朗読に臨んでいらっしゃいます。中でも、難病の患者さん達に、各界の人々からのメッセージを朗読した『あなたには明日生きる意味がある』(NPOキャンサーリボンズ)や、元ハンセン病患者桜井哲夫氏の詩の朗読など社会問題を問いかけた活動は特筆すべきでしょう。最近は、アンドレ・ジャピーのシムーン機墜落を救助した脊振(せぶり)村民を題材にして、高樹のぶ子氏が、作品化した「アンドレの翼」の朗読会を、ジャピーの出身地ボークール市で開催されています。この会は、ボークール市長も朗読のため登壇し、市民に熱狂的に受け入れられたそうです。

 

 

今回の演題は、「朗読の魅力」です。日本を代表するプロデューサーで、現在はTBSの顧問の鴨下信一氏の朗読の「100  check—points list」から、要点を紹介しながら講演は展開しました。美しい、いい声で朗読しようなどと身構えないほうがよいそうです。身構えてしまうと、声のほうばかりに注意がむいてしまい、そんないい声の朗読は、時間が経つうちに、聴衆から飽きられてしまうのだそうです。相手に伝えたいと思う気持ち、これをまず、朗読者は、しっかり自分で摑むことが大切で、「風呂場のタイル」のように均質な美しい声で一貫して朗読するなど、日常生活で不自然なことは、やはり朗読でも奇妙に目だってしまうようです。「赤いバラ」、「白いバラ」、発音すればはっきり分かるように、我々は、名詞の部分の発音を使い分けて、自然と色彩の雰囲気の相違を作り出す発声を行っているのだそうで、日常の自然作用に任せたほうがいい朗読ができるそうです。

こうした説明の後、童話作品を二作、加えて、芥川龍之介「羅生門」の朗読をお聞きしました。朗読が始まると会場は、ひときわ、しんと静まり、作品の雰囲気に同化していきました。

 

 

「羅生門」を心理サスペンス劇のように、下人の呼吸と同化して作品の生成に立ち会った時間でした。荒廃した洛中の様子と、切迫した下人の息使いもが彷彿として浮かんできた経験など初めてです。朗読の魅力の要諦を教えていただいた、貴重な講演でした。講師の青木氏と会を支えてくれた、スタッフと学生の皆さんに、お礼を申します。