就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2024.03.08 

【シリーズ〜卒業研究を振り返って〜vol.4】2023年度 卒業研究体験記

在学生の紹介

 「シリーズ〜卒業論文を振り返って〜」の第4回です。卒業研究の取り組みを振り返り、その方法や学びについて綴ってもらいました。

*****

花房 友斗(井上ゼミ)

 

 私は入学前から漠然と、太平洋戦争の海戦の1つであるレイテ沖海戦における、栗田艦隊の反転について研究したいと考えていました。栗田艦隊の反転については様々な先行研究がある中、決定的な説が出ていないため私自身で答えを出したいと思い、卒業論文として取り組むことにしました。最初は広く情報を集めるべく、12年の頃は太平洋戦争に関連する資料を集めて読んでいました。3年前期になると、範囲を少し狭めて日本海軍の資料を調べていました。

 卒業論文の方針を決めたのは、3年後期でした。私は表題を「栗田艦隊を反転に導いた判断要因について」として、栗田長官という人物に焦点を当て、反転の謎に取り組むことにしました。表題を決めて以降は、より範囲を絞って、レイテ沖海戦の栗田艦隊関連の資料を読み込みました。4年になって構成を考え、執筆を始めました。夏休みから本格的に執筆を行い、何回も構成を変更しながら形にしました。夏休み明けから提出までは担当教授と修正作業を行い、卒業論文を仕上げていきました。

 苦労したのは表題決定後の葛藤と、教授との修正作業でした。表題決定後、卒業論文としての独創性と、答えがでるのかという2点で悩みました。この悩みは、資料の読み込みと、毎日構成を考えたことで解決しました。教授との修正作業は、卒業論文を添削する形で行い、添削した箇所の意見交換を行いました。自信を持って書いた文章が添削まみれで返却されたときは非常に心に来ました。教授との意見交換でも、毎回痛いころを突かれましたが、添削と意見交換を繰り返すことで、卒業論文を磨き上げることができました。

 卒業論文は全て1人で作り上げます。表題決め、資料集め、構成、文章作成、スケジュール管理などの段取りは1人で行い、独りよがりにならないようにするために、他者とコミュニケーションをとることも重要でした。これらは社会人として仕事を行う事と同じであると感じ、いい勉強の機会となりました。

*****

枝木 大空(中山ゼミ)

 

 私は「笠岡諸島・石の島「白石島」「北木島」の 日本遺産としての価値と石産業の現状」を卒業研究のテーマとして、今まで注目されることが少なかった白石島の石産業について調査しました。

 私が卒業研究のテーマを大まかに決めたのは大学2年生の時です。賈鍾壽教授の歴史遺産研究の授業で、地域のことをパワーポイントでまとめて発表する際に笠岡諸島について調査したことで興味を持ち、少しずつ関連する書籍や論文を読み始めました。早い段階から方針を固め、資料を集めて参照するものに見当をつけていたものの、いざ書き始めると、どの資料の何ページを参照するのかをメモしていなかったためにもう一度探すという手間が必要になりました。有用な資料を見つけた際には、著作者と出版社、発行年月日と共に参照箇所をメモしておくのが大切であると感じました。

 資料を用いた調査によって、白石島の大正から昭和にかけての最盛期には石材会社が約60社あったものの、現在は2社のみであることが分かりました。夏休みに実施した現地調査によって、石産業の現状や採石・割石の手順を知ることもできました。実際に、石産業に携わる方たちから石材の特徴や価値、明治から大正にかけての石産業の隆盛を伺い、研究をより深いものにすることができました。また、現地調査のとき実際に石割などの仕事を体験させていただき、伝統的な石産業を続けていくために様々な知識や技術が必要であること、自然を相手にする仕事の難しさを身に染みて感じました。現地調査は当事者から話が伺えるほか、何よりも写真を撮影でき、視覚的にわかりやすい論文にすることができる点で有効であると感じました。

 卒業研究を進める上で、とにかく書いてみないと全体像も章ごとのまとまりや繋がりもわからないので、文字に起こすことが大切だと思います。何事もやってみる精神をもち、これからの生活に生かしていきたいです。

戻る