就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2024.02.16 

【シリーズ〜卒業研究を振り返って〜vol.1】2023年度 卒業研究体験記

在学生の紹介

 2023年度も、総合歴史学科の有志の学生に、卒業論文を執筆した経験や学びについて綴る卒業研究体験記を寄稿してもらいました。今年度は、5回に分けて掲載します。これから卒業論文のテーマの設定や執筆に取り組むみなさんや、専攻を検討しているみなさんの参考となれば幸いです。

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羽根 菜々子(苅米ゼミ)

 

 私の卒業研究のタイトルは「天文年間における神辺城の攻防について」です。この研究テーマを決めたのは、3年次になってからでした。先行研究や史料が少なかったことから、このテーマで卒業研究を進めていくことができるのか不安に感じ、テーマを変更しようかと悩んだこともありました。そのため、私が本格的に卒業研究に取り組み始めたのは、4年次になってからです。

 私が最も大変だったと感じた部分は、史料収集です。私の研究の場合、城を守る側に関する史料がほとんど残っていないことや、年月日が不明である書状の検討が課題でした。そうした中でも、年代や場所、人物名等を手がかりにして、4年次の8月くらいまでに史料収集と書き下し、現代語訳を進めました。そして910月は、集めた史料から年表を作成し、戦いの流れの把握や全体の考察をしていきました。実際に執筆し始めたのは、11月になってからです。11月にもなると、提出日が近づくことに焦りが出てきましたが、それまでに考察を進め、おおよその結論を出すことができていたため、計画的に執筆していくことができました。

 卒業研究を進めている時は、不安や焦りを感じることもありましたが、自分が集めてきた史料から結論を出すことができ、先生に確認して頂くことによって、自信をもって提出することができました。卒業研究に取り組むことで、知識を深めることができ、史料を読解する力がつきました。また、スケジュールの管理や必要な情報を収集した上で根拠をもって意見を述べること、読み手を意識することなどの大切さを学びました。卒業研究を通して学んだことを、社会に出てからも忘れず、役立てていきたいと思います。

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伊津 結那(三田ゼミ)

 

 私は、「松江城下町における白潟漁師仲間をめぐる諸関係―18世紀から19世紀を中心に―」をテーマとしました。地元のことを卒業研究でやってみたいと思っていたので、『松江市史』に掲載されている史料を読み、漁師についての史料が面白そうだな、もっと史料を読むことで分かることがあるぞ!と思い、この研究テーマにしました。

 卒業研究を本格的に執筆し始めたのは4年次の後期だったため、自分の書きたいことが書ききれるか不安でした。また、執筆する際に史料をしっかり読んでおかないと書くことが難しいと感じました。三田ゼミでは、3年次と4年次前期の授業で一つの史料を「読み下し→現代語訳→内容のまとめ→考察」のレジュメを作ります。授業を通して、読み下しをして現代語訳をする力、史料から読み取れることを隅々まで読み取る力がつき、卒業研究を執筆する際に、とても役に立ちました。しかし、まだまだ史料から読み取れることを隅々まで読み取る力は足りないと感じました。

 この卒業研究を行う上で、史料を探し史料を読むということも重要ですが、私は松江城下町を実際に歩いてみることもしました。漁師の住んでいた町がどこか、漁をしていた場所の広さや網を仕掛けていた場所はこのあたりかな、などと考えながら歩きました。実際に見て感じることで、史料を考察するときにもどのくらいの規模なのかを想像することができました。自分で歩いてみることで新しい発見があり、ワクワクしながら研究を進めることができたと思います。このような主体的に行動することの大切さを実感することができ、自分にとってとても良い経験になったと感じました。

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