2023.10.06 

リレーエッセイ「心理学とわたし」山西健斗助教

研究・出版 など

この原稿を書くにあたって,改めて私が心理学に関心を持ったのはいつだっただろうと振り返ってみました。今から10年ほど前,指導教員から紹介されたのが,学習支援のアルバイトでした。今考えると,指導教員が本当に気にかけてくださっていたのだと思い至るのですが,当時の私は興味もある分野だし,バイトにもなるしいいかぐらいの軽い気持ちで引き受けました。

 

実際にアルバイトを始めてみると,多種多様な背景を持つ子どもさんたちに小手先の技術などは通用せず,ある時には,部屋から出て行ってしまった子どもさんと追いかけっこになり,またある時には,怒ってしまった子どもさんの対応で腕があざだらけになり…と軽い気持ちで引き受けてしまったことを後悔しました。そんな状況で,ある子どもさんの担当をすることになりましたが,その際に「先生は勉強を教えてくれるけど,私を助けてくれない!」と泣きながら言われました。その一言は上記した出来事よりも当時の私には大きなショックを与えるものでした。

 

ただ,この一言があったからこそ,勉強が苦手な子どもたちにはどのような支援ができるのだろう?ということを大きなテーマにして,心理学を今現在も学び,実践につなげようとしているのだと思います。未だ道半ばではありますが,少し前にまた別の子どもさんに「先生は勉強のことはいうけど,話は聞いてくれるからなー」と言われたことを結びに代えさせていただきます。

 

写真は私の研究テーマに関係するものだったり,関係はありませんが様々なことを考えさせてくれたりする本です。

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