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北村佳久教授の研究グループが抗がん剤投与は不安症状を発現し、その発現にはセロトニン2A受容体の過活動が関与することを発表しました。

2021-09-07

抗がん剤投与はストレスに対する脆弱性を獲得する―セロトニン2A受容体機能の解析より―

 就実大学薬学部薬物治療学の北村佳久教授、出石恭久助教、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経機構学の浅沼幹人教授と岡山大学病院薬剤部の研究グループはドキソルビシンとシクロホスファミドの投与の化学療法ラットでは不安症状を示し、その不安症状の発症には脳内のセロトニン受容体の1つであるセロトニン2A受容体の機能亢進が関与することを明らかにしました。本研究成果は「Psychopharmacology」(IF=4.530)に9月7日付けで受理されました。
 ドキソルビシンとシクロホスファミドによる抗がん剤治療は乳がん等で有効性が確かめられています。がんの発症はそのがん患者にとっては大きな負のライフイベントであり、精神的負担は大きくなります。そのがんを治療する抗がん剤投与により、セロトニン2A受容体の機能が亢進すること、すなわちストレスに対して脆弱性を持つことを明らかにしました。がん治療時の不安症状の一部には抗がん剤自体の作用もある可能性を示したものです。
 本研究成果によりがん患者の健全な精神機能の維持への研究の推進が期待されます。


■論文情報
論文名:Influence of 5-HT2A receptor function on anxiety-like behavior induced by a combination of doxorubicin and cyclophosphamide in rats.

掲載紙:Psychopharmacology 2021 (in press) IF=4.530

著者:Tabuchi H, Kitamura Y*, Ushio S, Kan S, Wada Y, Sumiyoshi Y, Izushi Y, Miyazaki I, Asanuma M, Sendo T
*:Corresponding author