2026.03.23
在学生の紹介
総合歴史学科の有志の学生に、2025年度の卒業研究体験記を寄稿してもらいました。これから卒業論文のテーマの設定や執筆に取り組むみなさんや、専攻を検討しているみなさんの参考となれば幸いです。
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足立 礼野(三田ゼミ)
私は卒業研究では地元である島根県を対象にしたいと考え、「近世期における出雲国佐太神社による神職支配とその変容―元禄期における杵築大社との争論から見る―」をテーマとしました。佐太神社は現在も松江市内にあるのですが、17世紀後期には出雲国内の神職(神社の神主などの宗教者)を支配する立場をめぐって杵築大社(現在の出雲大社)と争っています。その争論の様子と、前後の変化を検討しました。
三田ゼミでは、4年生前期までに各自が史料の「読み下し→現代語訳→内容のまとめ→考察」をすすめ、レジュメにまとめます。この作業を通して、史料から読み取る力がついたように思います。卒業研究を本格的に執筆し始めたのは4年生の後期だったので、締め切りに間に合うか不安もありました。ですが史料の読み取りレジュメをしっかり作っておいたので、完成させることができました。
私のテーマは争論によって神職組織にどのような変化があったのかを検討するものです。争論前後の史料を見つけ、検討することも大変でしたが、卒業研究の執筆では、どの史料をどの順番で説明すれば説得力のある文章になるのかを何度も考えました。また、登場人物の立場や時系列の整理も示し、自分が考えたことを読み手に理解してもらえるような表現を意識する必要があることも学びました。
佐太神社や関連する場所を実際に訪れたことも、強く印象に残っています。なかには、初めて行った場所もあります。現地を訪れることで、史料に書かれている内容への理解も深まりました。それだけでなく、地元の歴史や地理についても改めて認識する良い機会になりました。
この卒業研究を通して、史料の読解力やスケジュール管理能力、読み手を意識した文章表現の大切さを学ぶことができました。また、史料収集から執筆までをやり遂げたことで、自分にとって大きな自信につながりました。この学びや自信をこれからの生活に生かしていきたいです。
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橋爪 隼人(苅米ゼミ)
私の卒業研究の題目は「肥後菊池氏の成立―室町時代を中心に」です。鎌倉時代末期から室町時代にかけて、肥後国(熊本県)を中心に活躍した武士団菊池氏の研究に取り組みました。私自身が熊本県の出身であり、縁のある地元の武士団を取り上げたいと考えました。
菊池氏は南北朝時代、全国的に南朝方(後醍醐天皇の勢力)が劣勢の中、唯一九州全域にまで支配権を伸ばした勢力となりました。また、室町幕府三代将軍足利義満によって南北朝が合一された後には、肥後国の守護となるという稀有な軌跡を辿っています。
研究を進める中で問題となったのは、菊池氏が滅亡しているため家の文書(「菊池家文書」など)が残されていないこと、菊池氏全体の先行研究が少ないことでした。そのため、自身で新たに情報を手に入れる必要がありました。たまたま祖父が、菊池氏の菩提寺である正願寺のご住職と友人だったことから、ご住職にお話を伺いに行きました。菊池氏にまつわる伝承などをお話してくださり、研究のイメージを強く持つことできました。また、菊池神社の神主の方も紹介してくださり、そちらでもお話を聞くことができました。
執筆は比較的スムーズに進めることができました。これは、早くから準備をしていたためだと思います。菊池氏を研究テーマにすることは入学当初から決めていたので、1年生から授業のレポートで内容が比較的自由なものについては、菊池氏や南北朝時代を扱うようにしていました。そのおかげで4年生になるまでに菊池氏の概要を掴むことができました。
これから卒業研究を始める方は、月に1度でも良いので、準備に取り組むことをお勧めします。夏休み前半に簡略な下書きが完成すると、最後に慌てずに済むと思います。また、できる限り現地に行くことで、新たな気づきを得られることがあります。
最後に、研究にあたってご指導いただいた苅米教授に深くお礼申し上げます。
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村上 来春(小林ゼミ)
私は卒業研究で、古代・中世のヨーロッパの戦争において、キリスト教的な要素がどのような影響をおよぼしていたのかを明らかにしました。高校での学習を通じて、中世ヨーロッパのキリスト教徒が戦った「十字軍」について学びました。一方で、イエスは愛や平和を説いたとも学んだため、「キリスト教のために戦う」という行為に矛盾を感じました。大学入学当初は十字軍のみに焦点を当てて研究を進めることを考えていましたが、戦いの中にキリスト教的な要素が取り込まれてれていく過程に着目する必要があると考え、卒業研究のテーマを「キリスト教と戦争との関係の変遷」と広げ、古代から13世紀までの時代を扱いました。
3年次から論文の執筆を進めましたが、扱う時代が広かったため、多数の先行研究の他にも、日々の講義から関連事項についての知識を取り入れることを意識しました。同時に、集めた情報から、論文で扱う内容を取捨選択する必要にも迫られました。そこで、当初は論文に取り入れなかった事柄も記録し、整理しておくことで、執筆中にやはり必要となった内容を随時、適切に補足することができました。
卒業研究では色々な種類の史料を分析しました。特に、キリスト教の教義における戦争の位置づけを検討するため、聖書も扱いました。聖書の内容は、時代と地域により多様な解釈がなされており、それらを理解し、文章として整理することは容易ではありませんでした。宗教や信仰などの枠組みを取り払い、歴史学の史料として聖書を客観的に分析し執筆することには苦労しましたが、その分、研究をやり遂げたという達成感も得ることができました。
この卒業研究を通じて、自分に必要な情報を見極め、多数の史料や先行研究の中からそれを探し出す力が身につきました。そして、収集した情報の信憑性を吟味しながら、自分なりの考察を深めていくという経験は、今後の自分にとって非常に有意義なものになったと思います。
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黒田 晶久(山本ゼミ)
私は「啓蒙の知的活動——18世紀フランスにおける読書・知識・メディア」という題目で卒業研究を執筆しました。研究の始まりは、3年生の4月に、18世紀フランスの読書史を研究テーマに選んだことでした。もともと読書が好きで、自分の好きなものを研究テーマにしたいなと思っていたことがきっかけです。場所と時代を18世紀のフランスにした理由の1つは、日本語で読める先行研究がいくつか存在したことです。また、私が好きな千葉雅也さん、鹿島茂さんといった書き手がフランスの文化と関連のある人々だったことも、私の選択に影響していたと思います。
3年生の間は、日本語文献を集めて読むことに集中しました。最終的に、史料を除く卒業研究の参考文献として、30以上の日本語の研究書・論文を収集しました。読書行為は知識やメディアをめぐる議論とも関わっています。そのため、そのあたりの文献も含めれば、収集した日本語文献の数は2年弱という卒業研究の提出期限を考慮すると多く、どの文献を先に読もうか迷いました。
卒業研究と同時進行で、文芸部や図書館サポーターの活動も行っていました。また、小林亜沙美先生の引率で2024年2月にドイツへ研修旅行に行き、その体験記を『就実大学史学論集』の第39号(2025年)に執筆することになりました。その論考のテーマはナチ・ドイツについてだったため、そちらの研究書・論文も読まなければならず、卒業研究との両立は大変でした。しかし、この時に小林先生に指導していただいた論文の書き方は、卒業研究を執筆する際にとても役に立ちました。
4年生になると、英語文献とフランス語文献も読むようになりました。外国語が得意な方ではないため、少しずつしか読み進められませんでしたが、最終的には卒業研究で外国語の研究書と論文を少なからず引用できました。卒業研究本文の執筆は、4年生の夏休みから12月にかけて行いました。まず土台となる文章を書き上げ、それから指導教員の山本航平先生に何度も面談をしてもらい、修正を繰り返しました。卒業研究の執筆は難しいことも多かったですが、2万字ほどの文章を約2年間という時間をかけて執筆する経験は、私にとってかけがえのないものになりました。
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下古立 心音(渡邉ゼミ)
私は「秦の家族・身分に関する法律や刑罰」をテーマに卒業研究を執筆しました。もともと始皇帝に興味があったため始皇帝に関する卒業研究に取り組みたいと思い、「始皇帝の家族関係」から発展させて、「秦の家族に関する法律」にテーマに選びました。
卒業研究は3年の後期から執筆し始めました。3年の前期は卒業研究に必要な先行研究を集めました。渡邉ゼミは、自分の卒業研究の準備に直接関わることを3年の前期から授業内で行うことができます。ゼミ内で卒業研究の進捗・添削をこまめに見てもらえ、他の人の卒業研究の進捗も確認できるので、論文の書き方に困ることがあまりありませんでした。そのためコツコツと卒業研究を書き進める環境が整っており、提出期限に追われて焦る、というようなことはありませんでした。授業外・長期休暇中でもメールや対面による添削や相談によく乗っていただけたので、安心して卒業研究に励むことができました。
渡邉ゼミは卒業研究の提出の後に口頭試問を行います。卒業研究の概要を1600字程度にまとめて提出し、先生から質疑と講評を受けます。卒業研究の執筆を通じて、文の構成を理解し、文章を書く力が身についたように感じます。一文一文丁寧に見ていくので最初はなかなか進みませんでしたが、2章に入るころには文章を書くことに慣れてきてスムーズに進むようになりました。中国史は漢文を引用することが多く、その場合、原文・書き下し文・現代語訳を書くので規定の文字数(16000字)を超える場合もあります。これから卒業研究に取り組む皆さんへのアドバイスとしては、新しい参考文献を使った場合に参考文献一覧にすぐに書き込む、注釈はその都度最後まで書ききる、提出前に数人(できるだけ多い方がよい)に誤字脱字を見てもらう、をおすすめします。
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塩見 奈央(井上ゼミ)
私は、入学当初から古代メソポタミアについて研究したいと漠然と考えていたので、1〜2年次から、古代メソポタミアの歴史や神話に関する本などを読んでいました。2年次の後期頃には、古代メソポタミアの神話に関する題目で卒業研究を書きたいと思うようになり、ゼミに所属するようになってから、『ギルガメシュ叙事詩』の主要なテーマである「死の不可避性」に興味を持ち、研究の範囲を狭めていきました。そして4年次になった頃に『ギルガメシュ叙事詩』に見られる死の受容から、古代メソポタミアの死生観を明らかにしようと考えるようになりました。そして4年次の前期に構成を考えて構想を練り、さらに先行研究を読み、本格的に執筆しはじめたのは4年次の9月後半からでした。
研究を進めるにあたって一番の悩みは先行研究が少ないことで、蒐集に時間がかかりました。英語の論文なども参照し、その読解の際には生成AIを活用しつつ、自分でも翻訳をするようにしました。そうして、蒐集した先行研究を読み込み、執筆を進めました。
執筆を本格的に開始してからは、文章が論理的に書けているか、自分が伝えたいことが相手に正確に伝わるか、ということにとても気をつけました。そして途中で井上先生に添削してもらいながら文章を修正することを何度も繰り返しました。提出の直前までそのような作業を繰り返し、卒業論文を完成させました。
執筆する前は、書き上げられるのかとても不安に感じていました。しかし、それまでに読み込んでいた先行研究や資料が、執筆の際にとても役に立ちました。そして、井上先生に執筆にあたって悩んでいることなどをご相談して、アドバイスをもらいました。卒業論文は自分自身で書き上げるものですが、先生やゼミの仲間に相談することはとても大事なことだと思います。そして、先行研究や資料をとにかく読んでみることが大事だと感じました。卒業論文を執筆するにあたって得た経験は、とても貴重になると思います。この経験を糧に、これからの社会や日常生活を頑張りたいと思いました。
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岡本 稜斗(井上ゼミ)
私の卒業研究のテーマは「ハンセン病の歴史を語り継ぐためには」です。このテーマにした理由は、岡山県内にある邑久光明園や長島愛生園を訪れた経験からハンセン病教育の必要性や療養所の将来構想に強い関心を抱き、さらに、ハンセン病やハンセン病回復者に対する差別が依然として残っている現状を知ったためです。
本格的に執筆準備に取り掛かったのは、3年生になってからでした。最初に資料収集と参考文献リストの作成に注力しました。具体的には、本校の図書館や県立図書館、インターネット記事、新聞記事で書籍や雑誌論文を集めました。また、邑久光明園や長島愛生園での現地調査を行い、音声記録や建物、患者が実際に使っていた物の見学とガイドの方の説明を通して、これまで集めていた書籍や雑誌論文にはない一次的な知見を得ていきました。
4年生になると、収集済みの資料を基に執筆を進め、夏休み前には執筆を終えることができました。その後は、提出日まで誤字脱字の修正や序章から終章までの一貫性の確認に注力し、井上教授に何度も相談して最適な表現や構成を模索しました。
執筆過程で工夫したことは、早い段階から現地調査を行い一次資料に触れたことです。それにより二次資料で指摘されていないデータや抽象的な表現があった場合でも、一次資料を基に読み解くことが可能でした。一方で苦労した点は、自分の伝えたい事柄を文章化する作業でした。この点に関しては、井上教授に何度も添削していただき表現を練り直していきました。
卒業研究の執筆を通して、計画性やリスク管理能力がより一層高められたと思います。また、研究を進めハンセン病について知れば知るほど、これまでの自分自身がハンセン病について表面上の理解に留まっていたと痛感しました。さらに、過去の歴史を通して物事の本質を捉える力を育てることができたと思います。
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古市 蒼空(杉山ゼミ)
私の卒業研究のテーマは、「温泉地の日常に溶け込むタトゥー観光客 ―愛媛県松山市道後温泉を事例に―」です。大学1年生の時に初めて道後温泉に行き、建物の景観、周囲の雰囲気、気持ちの良い湯に感動し、道後温泉に強い関心を持ちました。私は、その後も大学の長期休みを利用して道後温泉、道後温泉付近の銭湯に足を運びました。何度も道後温泉に足を運ぶのであれば、いっそのこと温泉をテーマにした卒業論文にしようと思い、研究テーマに温泉を選びました。
温泉に入っているとタトゥーを入れている人に遭遇することがあります。日本では、タトゥーがある利用者の入浴を禁止している温泉施設が存在します。またタトゥーに対して、不快に感じる人もいます。しかし、実際の入浴現場では、騒ぎや問題を起こすことなく、周りの人と同じように普通の入浴が行われています。先行研究では、タトゥーの可否や問題行動が主に取り上げられ、結論では、異文化理解の必要性が強調される傾向にあり、実際の入浴現場の状況は見過ごされてきました。私は、見過ごされてきた部分に注目し、温泉とタトゥーを卒業研究のテーマにしました。
卒業研究を進めていく上で重要なことは、自分でよく考え、人の意見やアドバイスに耳を傾けることです。卒業研究は、基本的に一人で進めていくものですが、他の人からの意見やアドバイスは非常に良い視点になります。先生から添削を何度もしていただき、また、友人からのアドバイスに耳を傾けることでより良い研究になっていきます。独りよがりな研究にならないように注意しましょう。卒業研究を通して、主体的に行動することの大切さ、温泉の魅力に気づくことができ、学生生活の非常に良い経験の一つになりました。

卒論のために作成した、図(筆者と外国人Aの位置)。
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大曽根 裕修(中山ゼミ)
私の卒業研究のテーマは「ファジアーノ岡山FCの歩みと成長-元関係者とサポーターの語りから-」です。私自身、岡山で生まれ育ち、身近な存在としてファジアーノ岡山FCを見てきました。J1昇格という大きな節目を迎えたクラブの歴史や地域との関わりについて「このチームはどんな人たちに支えられてきたのだろう」と改めて知りたいと思ったことが研究の出発点です。
クラブ創設期の元関係者と現サポーターへのインタビュー調査を実施しました。元関係者とのインタビュー調査では練習場所も資金も十分ではないなか、地域の人々の協力を得ながら少しずつクラブを発展させていった話を伺い、今のファジアーノ岡山FCの土台が、地道な努力と地域の人々とのつながりの上に築かれてきたことがわかりました。
また、現サポーターへのインタビュー調査では、スタジアムでの応援活動や新スタジアムに関する署名運動を通して「クラブを支えること」そのものが生活の一部になっていることがわかり、ファジアーノ岡山FCが単なるスポーツチームではなく、チームを支える人々の誇りや繋がりを生み出す存在であることを実感しました。
研究を進める中で、インタビュー内容を文字起こしし、文章としてまとめることの難しさにも直面しました。相手の思いや経験を大切にしながら、自分なりの視点を加えることは想像以上に難しく、何度も文章を書き直しました。しかし、その過程で「話を聞くだけでなく、意味を考え、言葉として伝える力」の大切さを学ぶことができました。
卒業研究の執筆を通して、身近な存在だったファジアーノ岡山FCは子どもたちに夢や希望を与える存在であることを、元関係者とサポーターの双方の語りから明らかにすることができました。ファジアーノ岡山FCの歩みは岡山という地域が積み重ねてきた歴史そのものであり、スポーツが人と人を繋ぎ、日常に小さな誇りや希望を生み出していることを、実感することができました。
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杉田 萌(中塚ゼミ)
私は「『卒業』と『脱退』にみるアイドルの時間構造―ジェンダー規範の分析―」というテーマで卒業論文を執筆しました。私は以前から、男性アイドル、女性アイドルを問わずアイドルという存在そのものに強い関心を持っており、そのなかで両者の活動のあり方やグループ離脱の仕方に違いがあることに疑問を抱くようになりました。こうした身近な関心を出発点として、その違いがどのような社会的構造やジェンダー規範によって生み出されているのかを明らかにしたいと考え、本テーマを設定しました。
研究を進めるにあたっては、まず先行研究を読み、アイドル研究や時間意識論、ジェンダー論の視点を整理しました。そのうえで、女性アイドル88名、男性アイドル33名を対象とした量的分析を行い、活動開始年齢や活動期間の差異を明らかにしました。さらに、平野紫耀、前田敦子、平手友梨奈、中島健人の4名を事例として、SNS上の反応の質的分析を行い、ファンの受容の特徴を検討しました。
執筆過程で特に大変だったのは、量的分析と質的分析をどのように結び付けて論じるかという点でした。そして、データを示すだけでなく、それを理論と結び付けて説明することの難しさを実感しました。また、構成の修正や表現の見直しを何度も行うなかで、文章を書く力の不足も痛感しました。その際には先生から丁寧なご指導をいただき、論理の組み立て方や学術的な文章表現について多くを学ぶことができました。
本研究を通して、一つのテーマに長期間向き合い、自ら問いを立てて分析する力の重要性を学びました。この経験は、今後の学びや社会生活においても大きな財産になると考えています。
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吉田 澪生(中塚ゼミ)
私の卒業研究のテーマは、「社会的排除と周縁化―『闇バイト』に関わる若者の背景と誘因―」です。近年、「闇バイト」が社会問題として注目されていますが、私はその背景にある若者の置かれた社会状況に関心を持ち、研究を進めました。具体的には、単に個人の判断により生じた問題としてではなく、教育や就労、生活の不安定さなどの構造的な要因から考察することを目的としました。
まず先行研究を検討し、社会的排除という概念を通して若者を取り巻く状況について理解を深めていきました。その上で、警察庁や各都道府県の警察署が公表している統計資料を用い、「闇バイト」に関する現状を整理しました。資料の量が多く、必要な情報を抜き出してまとめる作業には時間がかかり、地道な作業の連続でした。
次に、「闇バイト」の勧誘文を収集し、それらの言説分析を行いました。①高額報酬の提示による経済的な訴求、②安全性の強調、③匿名性の高い連絡手段への誘導、④婉曲表現など、共通する表現方法が段階的に用いられていることに気づいたときは、データを分析することの面白さを実感しました。また、警察関係者へのインタビュー調査を通して、現場で捉えられている課題や若者の実態を知ることができ、資料だけでは見えない側面を理解する貴重な経験となりました。
卒業研究を通じて、物事を一面的に見るのではなく、背景や構造を丁寧に考える姿勢の大切さを学びました。これから卒業研究に取り組む後輩の皆さんには、早めに準備を始め、自分が本当に関心を持てるテーマを選ぶことを勧めたいと思います。困ったときは指導教員に相談しながら、自分なりの視点で研究を進めてほしいと考えます。この経験は、今後の学びや人生において大きな糧になると感じています。