2026.03.16
在学生の紹介
「シリーズ〜卒業論文を振り返って〜」の第3回です。卒業研究の取り組みを振り返り、その方法や学びについて綴ってもらいました。
*****
下古立心音(渡邉ゼミ)
私は「秦の家族・身分に関する法律や刑罰」をテーマに卒業研究を執筆しました。もともと始皇帝に興味があったため始皇帝に関する卒業研究に取り組みたいと思い、「始皇帝の家族関係」から発展させて、「秦の家族に関する法律」にテーマに選びました。
卒業研究は3年の後期から執筆し始めました。3年の前期は卒業研究に必要な先行研究を集めました。渡邉ゼミは、自分の卒業研究の準備に直接関わることを3年の前期から授業内で行うことができます。ゼミ内で卒業研究の進捗・添削をこまめに見てもらえ、他の人の卒業研究の進捗も確認できるので、論文の書き方に困ることがあまりありませんでした。そのためコツコツと卒業研究を書き進める環境が整っており、提出期限に追われて焦る、というようなことはありませんでした。授業外・長期休暇中でもメールや対面による添削や相談によく乗っていただけたので、安心して卒業研究に励むことができました。
渡邉ゼミは卒業研究の提出の後に口頭試問を行います。卒業研究の概要を1600字程度にまとめて提出し、先生から質疑と講評を受けます。卒業研究の執筆を通じて、文の構成を理解し、文章を書く力が身についたように感じます。一文一文丁寧に見ていくので最初はなかなか進みませんでしたが、2章に入るころには文章を書くことに慣れてきてスムーズに進むようになりました。中国史は漢文を引用することが多く、その場合、原文・書き下し文・現代語訳を書くので規定の文字数(16000字)を超える場合もあります。これから卒業研究に取り組む皆さんへのアドバイスとしては、新しい参考文献を使った場合に参考文献一覧にすぐに書き込む、注釈はその都度最後まで書ききる、提出前に数人(できるだけ多い方がよい)に誤字脱字を見てもらう、をおすすめします。
*****
塩見奈央(井上ゼミ)
私は、入学当初から古代メソポタミアについて研究したいと漠然と考えていたので、1〜2年次から、古代メソポタミアの歴史や神話に関する本などを読んでいました。2年次の後期頃には、古代メソポタミアの神話に関する題目で卒業研究を書きたいと思うようになり、ゼミに所属するようになってから、『ギルガメシュ叙事詩』の主要なテーマである「死の不可避性」に興味を持ち、研究の範囲を狭めていきました。そして4年次になった頃に『ギルガメシュ叙事詩』に見られる死の受容から、古代メソポタミアの死生観を明らかにしようと考えるようになりました。そして4年次の前期に構成を考えて構想を練り、さらに先行研究を読み、本格的に執筆しはじめたのは4年次の9月後半からでした。
研究を進めるにあたって一番の悩みは先行研究が少ないことで、蒐集に時間がかかりました。英語の論文なども参照し、その読解の際には生成AIを活用しつつ、自分でも翻訳をするようにしました。そうして、蒐集した先行研究を読み込み、執筆を進めました。
執筆を本格的に開始してからは、文章が論理的に書けているか、自分が伝えたいことが相手に正確に伝わるか、ということにとても気をつけました。そして途中で井上先生に添削してもらいながら文章を修正することを何度も繰り返しました。提出の直前までそのような作業を繰り返し、卒業論文を完成させました。
執筆する前は、書き上げられるのかとても不安に感じていました。しかし、それまでに読み込んでいた先行研究や資料が、執筆の際にとても役に立ちました。そして、井上先生に執筆にあたって悩んでいることなどをご相談して、アドバイスをもらいました。卒業論文は自分自身で書き上げるものですが、先生やゼミの仲間に相談することはとても大事なことだと思います。そして、先行研究や資料をとにかく読んでみることが大事だと感じました。卒業論文を執筆するにあたって得た経験は、とても貴重になると思います。この経験を糧に、これからの社会や日常生活を頑張りたいと思いました。
*****
岡本稜斗(井上ゼミ)
私の卒業研究のテーマは「ハンセン病の歴史を語り継ぐためには」です。このテーマにした理由は、岡山県内にある邑久光明園や長島愛生園を訪れた経験からハンセン病教育の必要性や療養所の将来構想に強い関心を抱き、さらに、ハンセン病やハンセン病回復者に対する差別が依然として残っている現状を知ったためです。
本格的に執筆準備に取り掛かったのは、3年生になってからでした。最初に資料収集と参考文献リストの作成に注力しました。具体的には、本校の図書館や県立図書館、インターネット記事、新聞記事で書籍や雑誌論文を集めました。また、邑久光明園や長島愛生園での現地調査を行い、音声記録や建物、患者が実際に使っていた物の見学とガイドの方の説明を通して、これまで集めていた書籍や雑誌論文にはない一次的な知見を得ていきました。
4年生になると、収集済みの資料を基に執筆を進め、夏休み前には執筆を終えることができました。その後は、提出日まで誤字脱字の修正や序章から終章までの一貫性の確認に注力し、井上教授に何度も相談して最適な表現や構成を模索しました。
執筆過程で工夫したことは、早い段階から現地調査を行い一次資料に触れたことです。それにより二次資料で指摘されていないデータや抽象的な表現があった場合でも、一次資料を基に読み解くことが可能でした。一方で苦労した点は、自分の伝えたい事柄を文章化する作業でした。この点に関しては、井上教授に何度も添削していただき表現を練り直していきました。
卒業研究の執筆を通して、計画性やリスク管理能力がより一層高められたと思います。また、研究を進めハンセン病について知れば知るほど、これまでの自分自身がハンセン病について表面上の理解に留まっていたと痛感しました。さらに、過去の歴史を通して物事の本質を捉える力を育てることができたと思います。