2026.03.12
在学生の紹介
「シリーズ〜卒業論文を振り返って〜」の第2回です。卒業研究の取り組みを振り返り、その方法や学びについて綴ってもらいました。
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村上来春(小林ゼミ)
私は卒業研究で、古代・中世のヨーロッパの戦争において、キリスト教的な要素がどのような影響をおよぼしていたのかを明らかにしました。高校での学習を通じて、中世ヨーロッパのキリスト教徒が戦った「十字軍」について学びました。一方で、イエスは愛や平和を説いたとも学んだため、「キリスト教のために戦う」という行為に矛盾を感じました。大学入学当初は十字軍のみに焦点を当てて研究を進めることを考えていましたが、戦いの中にキリスト教的な要素が取り込まれていく過程に着目する必要があると考え、卒業研究のテーマを「キリスト教と戦争との関係の変遷」と広げ、古代から13世紀までの時代を扱いました。
3年次から論文の執筆を進めましたが、扱う時代が広かったため、多数の先行研究の他にも、日々の講義から関連事項についての知識を取り入れることを意識しました。同時に、集めた情報から、論文で扱う内容を取捨選択する必要にも迫られました。そこで、当初は論文に取り入れなかった事柄も記録し、整理しておくことで、執筆中にやはり必要となった内容を随時、適切に補足することができました。
卒業研究では色々な種類の史料を分析しました。特に、キリスト教の教義における戦争の位置づけを検討するため、聖書も扱いました。聖書の内容は、時代と地域により多様な解釈がなされており、それらを理解し、文章として整理することは容易ではありませんでした。宗教や信仰などの枠組みを取り払い、歴史学の史料として聖書を客観的に分析し執筆することには苦労しましたが、その分、研究をやり遂げたという達成感も得ることができました。
この卒業研究を通じて、自分に必要な情報を見極め、多数の史料や先行研究の中からそれを探し出す力が身につきました。そして、収集した情報の信憑性を吟味しながら、自分なりの考察を深めていくという経験は、今後の自分にとって非常に有意義なものになったと思います。
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黒田晶久(山本ゼミ)
私は「啓蒙の知的活動——18世紀フランスにおける読書・知識・メディア」という題目で卒業研究を執筆しました。研究の始まりは、3年生の4月に、18世紀フランスの読書史を研究テーマに選んだことでした。もともと読書が好きで、自分の好きなものを研究テーマにしたいなと思っていたことがきっかけです。場所と時代を18世紀のフランスにした理由の1つは、日本語で読める先行研究がいくつか存在したことです。また、私が好きな千葉雅也さん、鹿島茂さんといった書き手がフランスの文化と関連のある人々だったことも、私の選択に影響していたと思います。
3年生の間は、日本語文献を集めて読むことに集中しました。最終的に、史料を除く卒業研究の参考文献として、30以上の日本語の研究書・論文を収集しました。読書行為は知識やメディアをめぐる議論とも関わっています。そのため、そのあたりの文献も含めれば、収集した日本語文献の数は2年弱という卒業研究の提出期限を考慮すると多く、どの文献を先に読もうか迷いました。
卒業研究と同時進行で、文芸部や図書館サポーターの活動も行っていました。また、小林亜沙美先生の引率で2024年2月にドイツへ研修旅行に行き、その体験記を『就実大学史学論集』の第39号(2025年)に執筆することになりました。その論考のテーマはナチ・ドイツについてだったため、そちらの研究書・論文も読まなければならず、卒業研究との両立は大変でした。しかし、この時に小林先生に指導していただいた論文の書き方は、卒業研究を執筆する際にとても役に立ちました。
4年生になると、英語文献とフランス語文献も読むようになりました。外国語が得意な方ではないため、少しずつしか読み進められませんでしたが、最終的には卒業研究で外国語の研究書と論文を少なからず引用できました。卒業研究本文の執筆は、4年生の夏休みから12月にかけて行いました。まず土台となる文章を書き上げ、それから指導教員の山本航平先生に何度も面談をしてもらい、修正を繰り返しました。卒業研究の執筆は難しいことも多かったですが、2万字ほどの文章を約2年間という時間をかけて執筆する経験は、私にとってかけがえのないものになりました。