就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2026.03.09 

【シリーズ〜卒業研究を振り返って〜vol.1】2025年度 卒業研究体験記

在学生の紹介

  総合歴史学科の有志の学生に、2025年度の卒業研究体験記を寄稿してもらいました。これから卒業論文のテーマの設定や執筆に取り組むみなさんや、専攻を検討しているみなさんの参考となれば幸いです。

 

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足立礼野(三田ゼミ)

 私は卒業研究では地元である島根県を対象にしたいと考え、「近世期における出雲国佐太神社による神職支配とその変容―元禄期における杵築大社との争論から見る―」をテーマとしました。佐太神社は現在も松江市内にあるのですが、17世紀後期には出雲国内の神職(神社の神主などの宗教者)を支配する立場をめぐって杵築大社(現在の出雲大社)と争っています。その争論の様子と、前後の変化を検討しました。

 三田ゼミでは、4年生前期までに各自が史料の「読み下し→現代語訳→内容のまとめ→考察」をすすめ、レジュメにまとめます。この作業を通して、史料から読み取る力がついたように思います。卒業研究を本格的に執筆し始めたのは4年生の後期だったので、締め切りに間に合うか不安もありました。ですが史料の読み取りレジュメをしっかり作っておいたので、完成させることができました。

 私のテーマは争論によって神職組織にどのような変化があったのかを検討するものです。争論前後の史料を見つけ、検討することも大変でしたが、卒業研究の執筆では、どの史料をどの順番で説明すれば説得力のある文章になるのかを何度も考えました。また、登場人物の立場や時系列の整理も示し、自分が考えたことを読み手に理解してもらえるような表現を意識する必要があることも学びました。

 佐太神社や関連する場所を実際に訪れたことも、強く印象に残っています。なかには、初めて行った場所もあります。現地を訪れることで、史料に書かれている内容への理解も深まりました。それだけでなく、地元の歴史や地理についても改めて認識する良い機会になりました。

 この卒業研究を通して、史料の読解力やスケジュール管理能力、読み手を意識した文章表現の大切さを学ぶことができました。また、史料収集から執筆までをやり遂げたことで、自分にとって大きな自信につながりました。この学びや自信をこれからの生活に生かしていきたいです。

 

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橋爪隼人(苅米ゼミ)

 私の卒業研究の題目は「肥後菊池氏の成立―室町時代を中心に」です。鎌倉時代末期から室町時代にかけて、肥後国(熊本県)を中心に活躍した武士団菊池氏の研究に取り組みました。私自身が熊本県の出身であり、縁のある地元の武士団を取り上げたいと考えました。

 菊池氏は南北朝時代、全国的に南朝方(後醍醐天皇の勢力)が劣勢の中、唯一九州全域にまで支配権を伸ばした勢力となりました。また、室町幕府三代将軍足利義満によって南北朝が合一された後には、肥後国の守護となるという稀有な軌跡を辿っています。

 研究を進める中で問題となったのは、菊池氏が滅亡しているため家の文書(「菊池家文書」など)が残されていないこと、菊池氏全体の先行研究が少ないことでした。そのため、自身で新たに情報を手に入れる必要がありました。たまたま祖父が、菊池氏の菩提寺である正願寺のご住職と友人だったことから、ご住職にお話を伺いに行きました。菊池氏にまつわる伝承などをお話してくださり、研究のイメージを強く持つことできました。また、菊池神社の神主の方も紹介してくださり、そちらでもお話を聞くことができました。

 執筆は比較的スムーズに進めることができました。これは、早くから準備をしていたためだと思います。菊池氏を研究テーマにすることは入学当初から決めていたので、1年生から授業のレポートで内容が比較的自由なものについては、菊池氏や南北朝時代を扱うようにしていました。そのおかげで4年生になるまでに菊池氏の概要を掴むことができました。

 これから卒業研究を始める方は、月に1度でも良いので、準備に取り組むことをお勧めします。夏休み前半に簡略な下書きが完成すると、最後に慌てずに済むと思います。また、できる限り現地に行くことで、新たな気づきを得られることがあります。

 最後に、研究にあたってご指導いただいた苅米教授に深くお礼申し上げます。

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