就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2025.03.26 

京都・徳島での学外研修(総合歴史演習3)

授業・課外研修など

 2025年2月20日(木)〜21日(金)、総合歴史学科の選択必修科目である「総合歴史演習3」の受講生有志12名と担当教員(山本航平)は1泊2日で京都・徳島を訪れました。

 「総合歴史演習3」の授業目的は歴史学の方法論や西洋史学史・西洋文化史に関する理解を深めることです。授業では、福井憲彦『歴史学入門 新版』(岩波書店、2019年)と弓削尚子『はじめての西洋ジェンダー史——家族史からグローバル・ヒストリーまで』(山川出版社、2021年)の2冊を全員で輪読し、担当教員(山本航平)と受講生が討論を重ねました。今回の学外研修は研究書の輪読を通じて得た知識をより深めることを目的として企画・実施しました。

 

【2月20日(木)午前:京都(同志社大学)】

 8時30分に岡山駅に集合し、新幹線で京都駅へ向かいました。京都ではまず、山本の母校である同志社大学の今出川キャンパスを訪れました。京都市営地下鉄の今出川駅と大学キャンパスが直結している(駅の改札を出たところに大学への入口がある)ことに学生から驚きの声があがりました。就実大学以外のキャンパスに足を踏み入れる機会がほとんどない学生にとって、他大学の雰囲気を体感できるのは新鮮だったようです。同志社大学を訪れた目的は国の重要文化財に指定されている複数の建物を見学することにありました。山本が簡単な解説を加えながらキャンパスを散策することで、学生たちは近現代の日本の歴史やアメリカ合衆国の歴史に思いを馳せながら鑑賞できました。その後全員で中華料理の昼食を取り、講演会会場であるウィングス京都に移動しました。

 

【2月20日(金)午後:京都(講演会)】

 午後は、いずれも同志社大学大学院文学研究科の博士課程(後期課程)に在籍中の森田健斗氏と前田悠士朗氏の2名の講演を拝聴しました。まず森田氏には、「ひとりの生涯を追う歴史家を、追う——驚きと信念に駆けるナタリー・ゼーモン・デーヴィス」とのタイトルで、70分ほどお話いただきました。森田氏の講演は、著名な西洋史家で「ミクロストリア」とよばれる研究手法の実践者でもあるデーヴィスの歴史叙述の特徴を、彼女の生い立ちや知的背景にも言及しながら西洋史学史の流れのなかに位置づけるというものでした。そのような切り口からデーヴィスを語る文献は従来なく、学生にとってはここでしか聞けない貴重なお話でした。年表や森田氏のコメントが付された著作一覧のリストなど、作り込まれた資料の充実さにも学生は衝撃を受けたようでした。

 前田氏には、「シンコペーション——私の人生を通してみたアメリカ」とのタイトルで、80分ほどお話いただきました。内容は学生のキャリア教育を目的として、前田氏が高校生時代から現在まで何を考え、なぜアメリカ合衆国史を専門とすることになったのかを、ボストン大学への留学経験などをふまえながら振り返っていただくものでした。映画やスポーツといった身近な事例に言及しながら展開される軽やかな前田氏の語りに学生は熱心に聞き入っていましたが、それは単に「わかりやすい」話にとどまらず、「アメリカ合衆国とは何か」という難問に前田氏なりの回答を提示する重厚なアメリカ文化論であったと言えるでしょう。

 講演後に設けた質疑応答の時間では学生から多数の質問があがり、活発な議論が展開されました。質疑応答も含めると3時間半以上におよぶ充実した時間となりました。ご講演いただいた両名に改めて深く感謝申し上げます。複数の学生から「森田さん、前田さんの話が聞けてよかった!」との感想が聞けたのは幸いでした。初日の全プログラムが終了した16時40分以降は自由時間とし、私と講演者のおふたり、有志の学生6名は一緒に夕食を取りました。その他の学生も各々で京都の夜を満喫したようです。

 

【2月21日(金):徳島(大塚国際美術館)】

 8時20分にホテルのロビーに集合し、貸切バスで徳島県鳴門市の大塚国際美術館に向かいました。1998年開館の大塚国際美術館には西洋名画を中心に1000点以上の作品の複製(陶板画)が展示されており、鑑賞ルートのみで4キロほどに渡ります。その特徴をあげるならば、オリジナルと同じ大きさで複製されていること、オリジナルと同じ環境で展示されていること(たとえば、ミケランジェロの『最後の審判』はシスティーナ礼拝堂の空間を再現して展示されています)、そして古代から現代までの作品が年代順に展示されていることなどでしょうか。

 そのような美術館の特徴のおかげで、学生は「絵画の大きさによって鑑賞者に与える印象がまったく異なることが理解できた」「世界史の教科書・資料集を読んで知識としては持っていた各絵画様式の違いを実感できた」などの感想を持ったようです。それらを体感できただけでも、大塚国際美術館を訪問した価値は充分にあったと言ってよいでしょう。

 各自での昼食時間も含めて5時間におよぶ鑑賞を終えたのち、私たちはふたたび貸切バスで岡山駅に戻り、解散したのは19時10分のことでした。講演の聴講、そして建造物や絵画の見学・鑑賞を通して、「西洋文化(史)」漬けの充実した2日間となりました。今後も総合歴史学科では、学生が「現地」を訪問し学びを深めるさまざまな研修を企画・実施していきます。

(文責:山本航平)

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