就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2025.03.12 

【シリーズ〜卒業研究を振り返って〜vol.4】2024年度 卒業研究体験記

在学生の紹介

 「シリーズ〜卒業論文を振り返って〜」の第4回です。卒業研究の取り組みを振り返り、その方法や学びについて綴ってもらいました。

 

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中山 幹太(杉山ゼミ)

 私は「廃寺からみる都と鳥取の関係性―上淀廃寺を事例に―」を題目に卒業研究に取り組みました。上淀廃寺は地元である鳥取県に所在する廃寺であり、鳥取県を歴史学の視点で知ることが出来る上、現地調査や史料収集がしやすい点から、実のある研究を行うことができると思い、この研究テーマにしました。取り組み始めたのは、上淀廃寺にしようと決めた2年の冬頃からで、そこから4度の現地調査や史料収集を行い、コツコツと進めてきました。本格的に執筆を始めたのは4年の夏前だったので、余裕を持って取り組むことが出来ました。

 私が卒業研究を取り組む上で特に大切だと感じたのは、現地調査と他者から見た意見の2つです。1点目の現地調査ですが、実際に上淀廃寺に足を運んだことで、史料からは読み取れない点も視覚的に読み取ることができ、より詳細で確かな情報を得ることが出来ました。3年時に先生がよくおっしゃられていた「百聞は一見に如かず」の言葉通り、現地調査を行うことは卒業研究を執筆するにあたって重要であると感じました。また、実際に見たことで、心なしか卒業研究に対するモチベーションも上がった気がしました。

 2点目の他者から見た意見は、先生だけでなく、友人や家族にも意見を聞きました。これにより自分が史料や現地調査を踏まえて出来たものに、自分では思いつかなかった他者の意見を取り入れることで俯瞰的に捉えることができ、より具体性を持ったものにできたと感じました。

 卒業研究に取り組む中で、知識を深めることができたのは勿論のこと、提出締め切りに合わせて見通しを立て、計画性を持って行動する大切さを学ぶことができました。この学びを今後の生活にも役立てていきたいです。

 

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小西 志歩(中山ゼミ)

 私は「別子銅山関連遺産の保存・活用形態の変化」というテーマで卒業論文を執筆しました。大学1年生の時から産業遺産とその観光利用について興味があり、当初は長崎県長崎市の軍艦島(端島)を取り上げるつもりでしたが、大学の授業を通して現地調査が大切だと学んだため別子銅山を調査対象に設定しました。

 調査したい物事と自身のできることがかみ合わないこともありますが、改めて身近なものに目を向けると、珍しい遺産や面白いテーマが転がっていました。長期にわたって取り組むものである以上、よい落としどころを考えることが重要だと感じました。

 テーマは3年生の秋頃には決まりましたが、文章を書き始めたのは4年生の6月頃、現地の別子銅山記念図書館に行ったのも10月頃だったので、もっと早くから現地での情報収集に取り組んでいればよかったと後悔しながらの執筆作業でした。

 別子銅山は観光地化されており、ガイドツアーも行われています。別子銅山の周辺には銅山に関連した遺産や資料館が多いため、現地には3回ほど足を運び、調査を行いました。別子銅山記念図書館には古い行政資料も数多く残されており、別子銅山に関する特設コーナーもあったため、情報を集めることにはそれほど苦労はしませんでした。しかし、現地の遺産や資料館で情報収集するのにも、入手した資料を読み込むのにも時間がかかり、現地で得た情報を自分の卒業論文にどのように落とし込んでいくかという点が難しかったです。どのような根拠を示せば自分の主張に説得力が生まれるのか、どれが必要な情報なのかが明確に定まっていなかったことが難しさの要因で、論文の構成をよく吟味した上で現地調査に取りかかるべきだったと思います。

 私は円滑に現地調査を行うために研究対象地を変更しましたが、それは正解だったと思います。移動には時間も交通費も必要で、対象地が遠方だと何度も行くことが難しいです。実際に現地に行ってみると、どういった人々が訪れているのか、遺産が地域にどのような影響を及ぼしているかを自分の肌で感じることができ、現地調査の重要性を実感しました。文章を読んでいるだけでは見えてこないことがあると学べた良い経験となりました。

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西原 萌々香(中塚ゼミ)

 私は「当事者の記述にみられる「親ガチャ」概念の特徴と免責性─「毒親」概念との比較を通して─」というタイトルで卒業論文を書きました。「親ガチャ」と「毒親」はSNSなどでよく見かける言葉ですが、先に「毒親」という概念が定着していた日本で、なぜ「親ガチャ」という言葉が新たに登場したのかに興味を持ち、研究テーマにしました。

 ゼミで大まかにテーマを決めた後は、関連する文献を読み、レジュメにまとめて発表する作業を行いました。しかし、先行研究を調べていくうちに、どちらの概念も社会学の視点から研究された文献が少ないことに気付きました。特に「親ガチャ」は近年登場した言葉のため、学術的な分析よりもメディアやSNS上での議論が活発だった印象を受けました。そのため、社会学だけではなく他の分野の視点を取り入れながら分析を進めていきました。

 執筆に取り組む中で特に大変だったのは、調査方法がなかなか決まらなかったことです。「親ガチャ」や「毒親」という言葉を実際に使っている当事者の意見を分析対象にしたいとは考えていたものの、インタビュー調査を行うのは難しく、どうやって意見を集めるべきかに悩みました。その結果、卒論の方向性は固まっているのに調査段階で行き詰まるという状況に陥り、スケジュールが大幅に遅れてしまいました。最終的には、SNS上の投稿やエッセイ漫画の記述を分析し、そこから見えてくる傾向性を整理する方法を選びました。しかし、もう少し早い段階で調査方法を定めていれば、より時間をかけた分析を行うことができたのではないかという反省もあります。この執筆作業を通じて、自分で問いを立て、それに対する考えを文章に起こすことの難しさや、スケジュールを管理することの重要性を学ぶことができました。このような経験とそこから得られた学びは今後に役立てていければと思います。

 

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