就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2025.02.19 

【シリーズ〜卒業研究を振り返って〜vol.1】2024年度 卒業研究体験記

在学生の紹介

  総合歴史学科の有志の学生に、2024年度の卒業研究体験記を寄稿してもらいました。これから卒業論文のテーマの設定や執筆に取り組むみなさんや、専攻を検討しているみなさんの参考となれば幸いです。

 

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羽場 陽平(三田ゼミ)

 私の卒業研究のテーマは「刑罰書抜から見る17世紀の岡山の人々」で、岡山藩における犯罪と刑罰の実態を分析し、当時の庶民の生活や価値観を探ることを目的としました。「刑罰書抜」は、犯罪の種類や刑罰の内容、罪人の身分などが詳細に記録したもので、私はこの史料の、延宝71679)年の記録を整理し、罪の分類や刑罰の適用基準を分析しました。

 研究を進める中で、史料の解読や分類作業に苦労しました。史料を読み解くには時間がかかり、内容を整理する作業も根気のいるものでした。しかし、歴史の一次資料に直接触れることで、当時の社会や人々の暮らしを身近に感じることができ、研究の面白さを実感しました。卒業研究の中心に取り上げた盗みの一件は、身分や立場が似た人たちが共謀して犯罪を行っていました。

 卒業研究を通じて、歴史を深く考察する力や、根気強く資料と向き合う姿勢を学ぶことができました。これから卒業研究に取り組む後輩の皆さんには、早めに準備を始め、興味を持てるテーマを選ぶことをおすすめします。困ったときは先生に相談しながら、自分なりの視点で研究を進めてください。この経験が、きっと将来の糧になるはずです。

 

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深田 庄真(小林ゼミ)

 キリスト教世界で起きた平和運動や戦いについて興味があったので、「「神の平和」と十字軍-中世中期ヨーロッパにおける平和と戦争の相互関係-」という題目で、十字軍遠征がどのように正当化された運動であったのかを明らかにしました。当初テーマを決める時は、キリスト教徒による有名な戦いという単純な理由で、十字軍を選びましたが、実際に勉強を始め、200年も続いた十字軍の歴史のどこに重点を置くべきか悩みました。3年次に用いた研究書に、ほぼ同時代の、戦争とは正反対の平和運動「神の平和」に十字軍を関連付ける研究アプローチを見つけ、これを軸に十字軍の当初のきっかけやその後の展開について問題提起をすることができました。

 ヨーロッパ中世史の中でも十字軍について研究書が多くある一方で、考察や実際の執筆が研究書頼りになりがちだったので、その点には注意しました。また、日本語の研究書の中で用いられた史料自体は、本来外国語で執筆されていたため、その史料を直接分析したくても、探すのが困難でした。結果的に、一連の同時代史料の分析を通じて、各史料の執筆者による表現の違いを直接読み取れたのは良い経験になりました。特に宗教色の強いテーマであったため、執筆者それぞれの立場や派閥の絶対的な正しさを主張する記述や過剰表現が多くあったのが印象的です。

 卒業研究を通して、物事を計画的に進めることの大切さを実感すると同時に、場当たり的な対応力も磨かれました。私は途中で、論文全体の構成を大幅に変更し、より良いものができましたが、このようなとっさのアドリブが効いたのも基礎があったからだと思います。普段から目に見える進捗はなくても、とりあえず手を動かしておくことが必要なのだと感じました。 

 

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藤井 尚健(小林ゼミ)

 ヴァイキングの歴史について興味を持っていたので、私は「クヌート法典に古英語が使われた理由」について明らかにしました。卒業研究のテーマを決める際、当初は漠然とヴァイキングをテーマにしたいと考えていました。しかし、ヴァイキングについて調べるうちに、ヴァイキングの王であるにも関わらずイングランド王として即位したクヌートに興味を持ち、クヌートについて卒業論文を書こうと決めました。問題提起については3年次にクヌートに関する先行研究を読む中で比較的容易に設定することができました。しかし、法律をテーマにしているので、教会法やそれに伴うキリスト教的知識の乏しい自分にとって分析は非常に困難でした。また、クヌートが制定した法典だけでなく、300年以上さかのぼって、歴代のイングランド諸王が制定した法典を分析する必要があったので非常に苦労しました。しかし、わからないことは指導教員に積極的に尋ねることで次第に法典の分析に慣れることができました。そして、卒業研究を執筆する過程で培った史料を分析する力、つまり、物事を表面的に捉えるだけでなく、奥深くまで見通す力は、卒業後に大きく役立つ財産になると感じました。

 卒業研究を進めるうえでスケジュール管理は非常に重要であると感じました。通常4年次から執筆を始めますが、卒業研究の提出締め切りまでの1年間はあっという間に過ぎてしまいます。だからこそ細かく目標や期限を設定することで余裕が生まれ、自分でも納得できるものが完成するのだと思いました。 

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