就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2024.07.16 

小林亜沙美准教授がイギリスで開催されたふたつの学会で発表をしてきました。

教員の活動

 2024年7月1日(月)から4日(金)までイギリスのリーズ大学で開催された国際中世学会(International Medieval Congress, https://www.imc.leeds.ac.uk/imc-2024/imc-2024-programme/)において、総合歴史学科の小林亜沙美准教授(西洋中世史)が研究報告をおこないました。この学会は世界最大級の中世学会ですが、毎年キーワードが掲げられそのキーワードにまつわる発表がおこなわれます。今年のキーワードは「危機」で、2700名以上の研究者が世界中から集まりました。開催期間中は9時から20時まで学内の様々な会場で毎日50以上のセッションが開かれ、ひとつのセッションでは平均して3名の研究者が発表をおこないました。最終日には中世ヨーロッパの甲冑を身にまとった人たちがショーを繰り広げ、鷹を腕に乗せて鷹狩の気分を味わうコーナーも設けられていました。

 

 7月1日(月)にMedievalism in Times of Crisis: Reception, Adaptationm and Appropriation(危機の中の中世主義:受容・適応・流用)というセッションでInsights from the European Middle Ages in the Crisis-Ridden 20th Century in Japan(危機に満ちた20世紀日本においてヨーロッパ中世から得る見識)について発表をしました。日本では20世紀初頭に西洋中世史について本格的に研究され始めたわけですが、当時の日本人歴史家たちが変革期特有の様々な危機感を抱きつつ、西洋中世から何を学ぼうとしていたのかについて報告しました。

 国際中世学会終了翌日の7月5日(金)にリーズから電車で5時間ほどかけてカンタベリーに移動しました。7月8日(月)から12日(金)まで開催される国際中世教会法学会(International Congress of Medieval Canon Law)https://sites.google.com/view/icmcl2024/homeに参加するためです。中世の教会法分野で権威を誇るこの学会は、4年毎にアメリカ大陸かヨーロッパで開催されます。今年はカンタベリー大聖堂およびカンタベリーのケント大学で行われました。学会開始の前日7月7日(日)にはカンタベリー大聖堂でカンタベリー大司教、司教、司祭によって特別ミサが執りおこなわれました。学会全体を通じて、合計200名以上の発表者が毎日10以上のセッションに分かれて報告をおこないました。発表言語は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語となっており、発表や質疑応答や議論が様々な言語でおこなわれました。

 

 7月8日(月)にHeresy and Inquisition(異端と異端審問)というセッションで、Die Häresie und die Inquisition in den päpstlichen Dekretalen(教皇勅令に見る異端と異端審問)について英語のスライドを使用しながら、ドイツ語で発表をおこないました。このような報告の仕方は初の試みでしたが、高く評価され聴衆の注目を集めることができました。報告では、異端者を暴き出す課題に直面した教皇庁が12世紀から13世紀にかけて、どのように一般信徒を異端排斥運動に巻き込んでいったか、という経緯を教会法に即して説明しました。昼休み中はカンタベリー大聖堂アーカイブの見学が特別に許可され、教会法に関する写本を閲覧することができました。

 ほぼ同時期に開催されたイギリス国内のふたつの学会に参加するという貴重な体験を通じて、学会および学会参加者の雰囲気が非常に相異なっていたことを実感しました。学術分野の多様性が、各学界の社会性に繁栄しているということを見ることができました。どちらの大会の報告に際しても、興味深い指摘や質問をいただき、応答をすることができ、更に報告後には個別の議論を繰り広げることができました。総合歴史学科では、他にも多くの教員が海外での研究活動を展開し、その成果を授業に還元しています。

(文責:小林)

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