就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2023.03.08 

【研究こぼれ話vol.008】コロナ措置の緩和と海外渡航の再開―2022年度を振り返って

教員の活動

コロナ措置の緩和と海外渡航の再開―2022年度を振り返って

 総合歴史学科 准教授

小林 亜沙美

 

 20226月に、Covid-19感染予防措置としての日本入国後の自宅隔離義務が、ワクチン接種等の条件を満たした者について完全に撤廃されました。これは、ヨーロッパ史を専門的に研究している歴史学者にとって、不可欠なヨーロッパへの渡航がようやく可能になったということを意味しました。これを受け、私は2022年の7・8月と10月にドイツへ研究出張に行ってきました。7・8月には現地の古文書館と図書館を巡り、史料調査をしてきました。久しぶりのドイツの古文書館や図書館の独特の雰囲気と匂いになつかしさをおぼえ、ようやく現地調査が再び可能になったことを非常に嬉しく思いました。また、この古文書館・図書館巡りの道中で、かつての研究者仲間や同僚とも再会しました。これまで、彼らとは約1年半オンラインの会合や話し合いでしか交流ができていなかったので、対面で行った議論にはこれまで以上に花が咲きました。

 10月の渡独は、現地学会での研究報告および現地研究者との将来的な共同研究などについて会合が目的でした。1週間弱の滞在でしたが、学会の前後にはかつての恩師を含めた同業者たちとの研究会を行いました。個別の研究テーマについてだけではなく、今後のドイツの大学の在り方、研究者の生き残り方、研究の方向性などについても様々な情報交換を行い、多くの刺激をもらいました。本来の目的であった学会での研究報告とそれに続いて行われた激しい議論は、ドイツでの久々の対面行事で最初少し緊張しましたが、本当に楽しむことができました。学会以外の場所、例えばホテルの朝食や夕食、学会途中の休憩中には、舌鼓を打ちつつ談笑が繰り返され、新たな知識を収集し、多くの研究者と知り合いになることができました。

 コロナ禍で不可能となっていた、国境を越えての研究連携と、同じ空気を吸いながら飲食をともにしながら対面で行われる交流の重要性を再確認し、それが可能になったことを改めてうれしく感じました。

 移動や接触が制限されていたことで、オンラインでの話し合いを可能にする技術は確実に進歩しましたし、私たちはオンラインで行われる交流に慣れました。その結果、間接的ですが海外は近くなりました。研究の分野以外でも、諸外国の文化・街並み・建築物などを、様々な技術を用いて日本にいながら容易に見られるようになりました。しかしそれらは結局、他人のフィルターを通じて見せてもらい、経験させてもらっているにすぎません。今回の出張で初めて訪れた場所も多くありましたし、初めて出会った人々、初めて見たもの、聞いたこと、触れたこともたくさんありました。世界のあらゆる場所で、独自の感性のフィルターを通じてのみ、感じ取ることができることが、無限に存在するということを再確認しました。そして、こういった貴重な経験を世界の色々なところで学生の皆さんにも感じてもらいたい、と強く思った2022年度でした。

(文責:小林)

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