就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2023.02.25 

【シリーズ〜卒業研究を振り返って〜vol.1】2022年度 卒業研究体験記

在学生の紹介

 総合歴史学科の有志の学生に、卒業論文を執筆した経験や学びを振り返ってもらい、卒業研究体験記を寄稿してもらいました。これから卒業論文の執筆に取り組むみなさんや、これから専攻を検討しているみなさんの参考となれば幸いです。

 

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板谷 安菜(鈴木ゼミ) 

 

 卒業研究は、研究テーマを探すことから始まりました。研究史辞典などを参考にして、検討の余地があるかどうかを調べてからテーマを決めました。私は卒論タイトルを「藤原広嗣の乱について」と定め、特に乱の経緯に関して日付の問題に注目して研究しました。

 3年次の始めには先行論文リストを作成しました。収集した論文を読み、「論文ノート」と「史料ノート」を作成して研究を進めました。「論文ノート」はテーマに関連する学術論文を読み、その内容を整理するために作成したものです。また、「史料ノート」は各説の論拠とされている史料の読解を行い、書き下し文と現代語訳をまとめたものです。語句の意味は、歴史辞典や国語辞典を用いて調べます。書き下し文にして漢和辞典を引いて漢字の意味を一文字ごとに調べることもあります。これらをもとに、ゼミで進捗状況の報告会を行いました。

 4年次は、先行研究と論点を整理して、研究テーマの問題点を探しました。そして、夏休み前に章立て案を作成し、論文の構成を考えました。執筆は11月頃に開始しました。

 卒業研究の過程で大変だったのは、先行研究を批判することでした。論説を支持する場合も批判する場合も根拠となる史料を挙げる必要があります。その内容を正しく理解しなければならないため難しいと感じました。

 しかし、史料読解そのものは楽しい作業でした。意味調べや現代語訳に時間がかかる地道な作業ですが、古い時代に書かれたものからその時代の出来事がわかるという面白さがあると思います。

 卒業研究において学んだことは、歴史学の研究手法だけではありません。報告会や執筆を通して、自分の言葉で考えを伝えることの難しさと大切さを学びました。これからの人生においても、周りの人とのコミュニケーションは必要不可欠だと思います。人と話したり文章を書いたりするときは、意図が正しく伝わるように心がけていきたいです。

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光藤 詩乃(小林ゼミ) 

 

 卒業論文は大学生活の最後に取り組む、いわば集大成です。取り組む期間も約一年と、これまで経験したことのない長期間で、期末レポートを書く時とは比べものにならない大変さがありました。しかし自分が研究したいと思ったテーマと向き合い、知識を深めていくあの時間は、とても充実していたと思います。

 私は16世紀ドイツで起こった宗教改革についての卒論を書きました。その際、一番苦労したのが文献集めです。日本で西洋史を研究する以上しょうがないことではありますが、テーマによっては日本語の先行研究や史料が少ないという難しさがあります。私の場合、宗教改革についての論文は多く存在していても、私と完全に同じテーマの論文は無かったため、沢山の論文の中から必要な情報を探し集める必要がありました。しかし知識の少ないうちは、どういった単語で検索すれば、自分の求める情報の乗った文献が見つけられるのかも分からず、何度も先生にアドバイスを貰い、少しずつ参考文献を集めました。

 しかしそうして取り寄せた折角の文献も、いざ読んでみると自分の卒論の参考になる部分は数行しか無い、なんてこともありました。その時はとてもガッカリしたし、こんな調子で結論まで至れるのだろうかと不安に思ったりもしました。しかし実は、その数行の知識の積み重ねがとても大切だったのです。沢山の文献を読むうちに、必要な情報が徐々に蓄積されていき、次第に自分なりの考察ができるようになりました。問いに対する結論を出せた時はとても達成感があって、これまでコツコツ頑張ってきて良かったなとしみじみ感じました。

 卒論作業は、スケジュール管理能力、課題発見&解決力、情報を整理し思考をまとめる力、それを文章にして表す能力など、社会に出ても役立つ能力を向上させてくれます。また、一人で行う課題であったとしても、行き詰まった時に周りに相談したことで進展した事が何度もあり、報連相の重要性をとても感じました。こうした経験と身についた能力は、社会に出てからもきっと役に立つ時が来ると思います。

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中西 悠人(井上ゼミ) 

 

 おおよそ「冷戦」に関するものを書こうと決めたのは2年生の夏から秋頃でした。初めはベトナム戦争におけるアメリカの政策を考えていたのですが、しっくり来なかった事もあって、次に、インドやパキスタンの政策、特にバングラデシュの独立についても考えました。アジア地域に大きな影響を持っていたソビエト連邦の外交政策に関心があったので、両方の本を読んでみて、より興味を持った方を卒業研究のテーマにしようと思いました。次第に、ソ連の外交政策の本の中にあったアフガニスタンについての章に興味を持ち、ちょうどその時期、講義でその話を学んでいたため、3年生の秋頃にソビエト連邦のアフガニスタン侵攻を扱おうと決めました。最終的な題目は、「ソビエト連邦によるアフガニスタン侵攻の原因」としました。

 資料の収集方法としては、まずは教授に質問をして重要な資料となる本をいくつか聞いた後、それらの本の参考文献の中から必要な資料を探しました。それと並行して、岡山県立図書館で蔵書検索をして関連しそうな本を集め、そこからも情報を仕入れました。

 本文の執筆については、各章ごとにWordのファイルを分けて、書けるところから書き進めました。序章は最初に書く内容のみを決めて、文章自体は資料を集め終わり、本文の内容をほとんど書き終わってから書き進めました。書いている内容について、毎週ゼミの時間に進捗を教授や友人に読んでもらい、文章の不備や誤字脱字を確認しました。ゼミで自分の考えを話し、友人から意見や質問をもらうことを繰り返したことで、自分の考えを整理することができました。

  卒業研究を行ってみて、数多くの資料の中から必要な情報を探しだす事や、他人に自分の考えを正確に伝達する事がどれだけ困難であるかを認識することができました。

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