就実大学 人文科学部 総合歴史学科

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2021.11.19 

2021年度 史学会主催・定兼学氏講演会「岡山アーカイブズの現在―歴史資料はいかに守られているか―」の記事を掲載しました。

講演会

 20211113日(土)13時30分より、2021年度就実大学史学会学術講演会を開催しました。岡山県立記録資料館特別館長の定兼学さんをお招きし、「岡山アーカイブズの現在―歴史資料はいかに守られているか―」というタイトルでご講演いただきました。

 ご講演の内容は、現在記録資料館で主に公開されている歴史資料のうち、公文書(県庁で作成された行政文書)と古文書について、どのように資料館に受け入れているのか、どのような内容のものがあるのかを述べられ、公文書・古文書の保存・公開の社会的意義や課題にも触れられました。

 公文書については、例年県庁などから保存年限が過ぎ廃棄されるものを選別・受け入れていること、しかし受け入れは全体の約3%程度であること、選別にあたっては「最小量で最大の情報を得られるもの」を優先し、のちに社会の復元が可能となることを意識していると紹介されました。これらを整理し、公開することは、開かれた県行政を担保することであり、将来にわたって県民の知的資源であると位置づけられました。資料館で所蔵されている明治期の水害関係資料が紹介され、「記録を残す・保存する」ことの意義について、学生も実感できたのではないかと思います。

 古文書については、家や地域で保管されてきた古文書類が公的機関で保存される時代になっている現状が指摘され、文書群の調査の様子や具体的な調査方法が紹介されました。古文書は「プライベートメモリアル」であるため、公的な資料館での保存については否定的な意見もあるが、「個人の記録」こそが社会の実態的な復元には不可欠であるとも説明されました。岡山空襲時の罹災証明書が紹介され、複数の検印はこの証明書を利用して「いのち」を繋いだ記録である、との説明は非常に説得的でした。

 さいごに、資料館が様々な機関・利用者・県民などと連携しながら、公文書・古文書の保存と利用の循環構造を深めることが大切である、と呼びかけられました。保存すれば利用でき、利用者が増えれば、機関の積極的な保存や整理も可能となる、ということです。本学科の学生には、ぜひともレポートや卒業研究で利用してもらいたいと思いました。

 「歴史資料を保存し、伝える」ために、私たちの身近な場所でどのような営みがなされているのかを学ぶ貴重な機会となりました。

(文責:三田)

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