就実大学 人文科学部 総合歴史学科

2020.04.29 

社会人学生メッセージ 【西家忠治さん】

卒業生の紹介

西家忠治さん

(2017年度3年次入学、2018年度卒業)

(2019年度大学院入学)

*2020年5月現在、在学生のスナップ写真を撮影できていません。今後UPする予定です。

Q1.なぜ大学に入学しようと思ったのですか?

 

 もともと日本史が好きで、高校の時にその方面に進学しようと思ったこともありましたが、結局は理系の学部に進みました。しかし、大学の時にサークル活動で考古学に関わったこともあり(あくまでも趣味的なものだったのですが)、いつかは本格的に勉強してみたいと思っていました。ですから本学の内容を知り、入学して本格的に学びたいと思いました。

 

 

Q2.就実大学の総合歴史学科に入学しようと思った理由はなんですか?

 

 1)オープンキャンパスに参加して、歴史の授業が横断的に行われていることを知り、幅広く歴史のことが勉強できることと、模擬授業を受けて講義内容に期待できそうだと感じたため。

 2)3年次への編入学制度があったため。

 3)学費が安価な社会人入学の制度(社会人特待生制度)があり、私たちシニア世代には恵まれた環境で勉強ができるため。

 

Q3.受験のためにどのような対策をしましたか?

 

 1)事前にいただいた過去問題集を参考に高校の古文・日本史・英語を、教科書で再度勉強しました。とくに古文と漢文に力を入れました。

 2)古文書については市立図書館で古文書講座が開催されていたので、そこに1年半通って勉強しました。

 

Q4.4コースのうち、どのコースに進む予定ですか?

 

 歴史遺産コース

 

 

Q5.どのコースに進むか、入学前から考えていましたか? 

 

 私は3年生への編入を前提に試験を受けましたが、入学前から石仏や城壁など石造の建築物・構造物に興味を持ち、その方面の遺跡探訪などをしていました。特に考古学を中心に勉強したいと思っていたので、歴史遺産コースを選択したいと決めていました。

 

 

Q6.大学を受験するとき、まわりの方はどのような反応をされましたか?

 

 私は日頃から、いつかは大学で基礎から勉強したいと周囲の人に話していたので、特別に驚きはなかったように思います。

 

Q7.大学に受験することを最終的に決断したのはいつでしたか? また、そのきっかけはなんですか?

 

 定年退職の1年前です。趣味で歴史をやるのと大学で基礎から勉強するのでは、基本的に違うと考え、本格的に勉強してみたいと考えたからです。脚本家の内館牧子さんが自身の大学院への入学動機を語っておられたラジオ番組を聞いたのもその頃で、私を後押ししてくれたように思います。

 

Q8.印象に残っている授業、いま受講していて面白い授業があれば、あげてください。また、その理由も教えてください。

 

(1)ヨーロッパ・アメリカ史入門2(担当:櫻田美津夫先生)

 ヨーロッパの歴史を通じて「自由」とは何かを問う講義でした。私たちが「自由」を守るためには、具体的にどう行動すればいいのかを真剣に考えなさい、という先生の気迫を感じました。とても広がりのあるよい講義で、これぞ大学の講義だと思いました。

 

(2)日本史入門2(担当:三田智子先生)

 江戸時代の社会構成についての講義で、高校の日本史で学んだ事柄の延長のように最初は思っていましたが、非常に奥深い江戸の社会を従来とは違う切り口から勉強ができたように思います。

 とくに、毎回配布される資料の的確な内容とその深みには感心させられました。自分自身の資料作成について大変参考になっています。

 

Q9.在学中にぜひ取り組みたいことはありますか?

 

 せっかく与えられた機会を有効に生かしてほしいと願っています。 

 出席カードなどに記入された質問や感想が授業中に披露されたときに、「みんなよく考えているな、優秀だな」と思うのですが、授業中に質問がないことは不思議でした。 2年間の講義の中で、学生が先生に質問している姿を一度として見ませんでした。こんなに素晴らしい先生方に恵まれているに、どうして、どしどし質問しないのでしょう。とても「もったいない」と感じました。

 

Q10.自分より年下の学生と一緒に学ぶことについて、何か感じることはありますか?

 

 「大学は何をするところか」、「学問をするとはどういうことか」、40年前に私の指導教授がよく大学のあり方として私たちに説かれていました。今になってようやく少しだけ分かったような気がして、次のように考えています。

 大学は考えるための時間と場所(=講義)を豊富に与えてくれるところだと思います。そこで学ぶ、すなわち学問をするということは、何かを考えるということであり、単に技術の習得等が優先される専門学校などとは本質的に違うのだと思います。大学生活にとって最も重要なことは、4年間という考えるための時間をいかに有効に過ごすかであり、またそれが大学で学ぶことの意義であり、学生の特権だとも思います。

 現在の大学は過渡期にあるのでしょうか、就職優先なのか大学であることを放棄した、専門学校の延長のような場面によく出くわし、先生方、学生たち双方に気の毒に思う面もあります。しかし、大学で学ぶことの意義は日々の授業を通して先生方の個性や考え方に触れ、そこから先生と学びのキャッチボールをすることにあると思います。その楽しさをみんなに感じてほしいと思います。

 

Q11.大学で学ぶことによって、あなた自身に何か変化したことはありますか?

 

 卒業論文では県内の7世紀代の古代山城について書きました。考古学の手法で建物や構築物などを中心に調査する中で、7世紀後半の激動の東アジア情勢の中で古代山城が築造された時代の社会組織や政治構造はどのようなものだったのだろうか、どのような人達が築造を支えたのだろうか、と時代背景についての興味と疑問が新たに湧いてきました。それらの疑問を解明するためにもう少し勉強しようと考え、大学院への進学を決意しました。

進学後ほぼ1年が経過し、受け身でも講義を受けていればいい学部と、自分から行動しなければ前に進まない大学院の大きな差に気づかされました。新たな挑戦ともいえるのでしょうが、私の場合、全てが試行錯誤の出発、まわり道の繰り返しに思われ焦りを感じています。でも、今までの学院生はみな経験し解決してきたことだと思い、歯を食いしばって頑張っています。

 日本では大学院への進学者が減少していますが、大学院は学部では味わえない学問の面白みを味わえるところだと思います。一度だけの人生ですから、多くの人に学部で学んだことをもう少し深く追及してほしいと願っています。その成果は将来、どんなときにも有形無形に大きな支えとなってくれるはずです。

 

Q12.卒業後のプランは何かありますか?

 

 まだ具体的には分かりませんが、何らかの形で社会に大学・大学院で学んだことの恩返しができればと考えています。

 

Q13.社会人で受験を検討されている方に向けて一言お願いします。

 

 私はある年齢になって編入学という形で大学に学びましたが、皆さんが立ち止まり何かに迷ったときや、何をしようかと思ったときには大学で勉強することをお勧めします。Q10でも述べましたが、大学は講義を通して学問をし、知識を習得する場で、「学問=考える」場を提供してくれます。すぐに役に立つような付け焼き刃的なものより、もっと根本的なものがそこにはあると思って間違いありません。学びたい人には、何時でも、そしてだれにでも開かれた最高の場所だと思います。

 

 

(記録:2020年4月)

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