就実大学 人文科学部 総合歴史学科

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2019.01.24 

2018年度 史学会主催・竹中千春氏講演会「ガンディーに学ぶ 暴力の連鎖をどう解くか?」の記事を掲載しました。

講演会

2018年度 就実大学史学会 公開学術講演会

 

竹中千春氏講演

「ガンディーに学ぶ 暴力の連鎖をどう解くか?」

 2018121日(土)午後130分より、S101教室において恒例の史学会学術講演会が開催されました。今年は立教大学の竹中千春先生が、「ガンディーに学ぶ 暴力の連鎖をどう解くか?」と題してご講演くださいました。竹中先生は、インド独立運動の指導者ガンディーが果たした役割と、現在の紛争の絶えない世界でガンディーの思想から学ぶことについて3時間近くにわたってお話になられました。

 

 ガンディーは1869年、インド西部のポールバンダルという小さな藩王国で生まれた。後年、インド独立運動の指導者として「マハートマ(偉大な魂)」と呼ばれますが、幼少期にはいたずらしたり学校を辞めてしまったり、わんぱくな少年だったエピソードも紹介されました。ガンディーの独立運動の中心は民衆でした。独立運動に民衆を巻き込んだことは、ガンディーがアジアの革命運動にもたらした大きな特徴でした。また農場でカーストなどの差別のない自給自足の共同生活を実践するなど、彼はアイディアマンであり、好奇心旺盛な勉強家でもあったのでした。そして何より人間社会を楽観的に信頼した人だったといいます。暴力革命こそ被抑圧階級の権利であり、植民地独立のために武器を持って戦うことが当然と考えられた時代に、ガンディーはサティヤーグラハという非暴力の戦いを提唱しました。彼の思想は時代を超えて、今の紛争の絶えない世界を見るときにも、多くの人に感銘を与え、また紛争を解決するときの心構えを教えてくれるものだと、竹中先生は論じられました。

 

 講演後の質疑応答の中で、現在の中東やアフリカの紛争解決に非暴力の方法は有効かとの質問が出ると、先生は、むしろ武力による解決がことごとく失敗していることを指摘され、外交や交渉という非暴力の手段しか残されていないのではないか、と答えられました。ガンディーの時代から今日に至るまで、われわれの前にある課題は依然として、どうしたら平和を実現できるかということなのだと改めて知る講演会でした。

 

(文責:井上)

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