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【薬学部】渡邊 政博 准教授・豊村 隆男 准教授・森 秀治 教授らによる、細胞が発する「 危険信号」のコントロールに関する研究成果が国際学術誌に掲載されました

2026-05-29

 就実大学薬学部 薬理学研究室の渡邊 政博 准教授・豊村 隆男 准教授・森 秀治 教授らの研究グループは、細胞がダメージを受けて死ぬときに放出される「危険信号」が、細胞の種類や死に方の違いによって、放出されるタイミングが巧みにコントロールされていることを発見しました。本研究成果は、日本薬学会が発行する国際学術誌「BPB Reports」に2026年4月9日付けで掲載されました。

■ 体内の「アクセル」と「ブレーキ」:炎症の不思議
 私たちの体の細胞は、ウイルスに感染したり大きなダメージを受けたりして死ぬときに、周囲に「異常事態だ!」と知らせる危険信号を放出します。これを「ダメージ関連分子パターン(DAMPs)」と呼びます。
 これまでに研究グループは、DAMPsには、炎症を引き起こして攻撃態勢を整える「アクセル」役(HMGB1)と、逆に炎症が広がりすぎないように抑える「ブレーキ」役(RPL9)があることを発見しました。しかし、この「正反対の働きをする物質」が同時に放出されたとき、体はどうやって炎症のスイッチを入れるのか、その詳しい仕組みは謎に包まれていました。

■ 研究でわかったこと:細胞によって「出す順番」が違う!
 研究グループは、免疫細胞(マクロファージ)や肝臓の細胞などを使って、これら2つの物質が放出されるタイミングを詳しく調べました。すると、細胞の種類によって驚くべき違いがあることが分かりました。

・免疫細胞の場合:まず「アクセル」を出し、後から「ブレーキ」を出します。これにより、素早く炎症を起こして敵と戦う準備を整えます。

・肝臓の細胞の場合:「アクセル」が出る数時間も前に、まず「ブレーキ」役が放出されました。

 つまり、私たちの体は細胞ごとに「危険信号」を出すタイミングをずらすことで、炎症の強さや期間をコントロールしている可能性があるのです。

■ 新しい治療法への期待
 過剰な炎症は、さまざまな病気を悪化させる原因になります。今回の研究で、特定の物質が「いつ、どのように」放出されるのかという時間的なルールが見えてきました。
 今回の発見は、将来、さまざまな病気に対する新しい治療戦略を検討するための重要な手がかりになる可能性を秘めています。今後、この仕組みがより詳しく解明されることで、新たな治療への貢献が期待される研究成果です。


■ 論文情報
論文名: Time-Dependent Regulation of DAMP Signaling: Differential Release of HMGB1 and RPL9 by Distinct Cell Death Pathways

掲載誌: BPB Reports, Vol. 9, No. 2, p. 41-47, 2026
https://www3.e-kenkyu.com/bpb-reports-online-journal/papers/272?number=2&volume=9&year=2026

著者: Watanabe M, Toyomura T, Tomono Y, Wake H, Nishinaka T, Takahashi H, Nishibori M, Mori S