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お知らせ就実公開講座

就実公開講座前期第3回 令和4年6月18日

2022-06-23

 

肖像の表現史ー初代岡山藩主池田光政を中心にー

                          浅利 尚民 (人文科学部 表現文化学科 准教授) 

   

 公開講座第3回目は、「肖像の表現史ー初代岡山藩主池田光政を中心にー」と題して、浅利尚民准教授より「動きの表現史」というテーマに即して、肖像の表現の変遷について講座が行われました。

我が国で制作されてきた肖像というと、絵のみならず彫刻も含まれます。歴史上の人物を思い浮かべるとき、私たちは肖像画や彫刻を頼りに、その人物像をイメージすることになります。肖像の表現のあり方について考えを深めることで、肖像の表現がもたらす、人物像やその人物を取り巻く周辺の人々の姿も垣間見ることにつながります。

 我が国で歴史的に制作された肖像の多くは僧侶であり、時代が進むごとに、俗人の肖像も制作されるようになります。同じ人物を表現した彫刻や絵であっても、ある程度理想化して制作されたもの、シワや頬の窪みなどその時代に生きている様子をリアルにうつしとって写実的に制作されたものなど特性がありました。

 本講座では、我が国で制作された肖像の表現の特徴をつかむため、鑑真など代表的な彫刻の画像をいくつか鑑賞した上で、池田光政に関する略年譜、制作された肖像6点、肖像の他に残された箱蓋に記された墨書きの内容などと合わせ、光政の肖像を丁寧に鑑賞し、その肖像がいつ誰の指示で誰によって制作されたものか、どのようにして制作されるにいたったのかなど、池田光政の肖像について丁寧に解説されました。受講生29名が講座を聴講し、講座後も講師に質問するなど熱心に学ぶ姿が見られました。