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表現文化学科教員の研究・社会活動

瓦井裕子講師が著書『王朝和歌史の中の源氏物語』を出版しました

2020-10-21

瓦井裕子講師が、『王朝和歌史の中の源氏物語』(和泉書院 2020年9月)を出版しました。

前半では、『源氏物語』の表現と同時代の和歌表現とが一致する例に着目し、和歌との関係の中で『源氏物語』の解釈を行います。後半では、『源氏物語』成立直後から『源氏物語』の表現が和歌に取り入れられていく過程や享受の諸相を明らかにしています。全体を通して、『源氏物語』が先行和歌・同時代和歌の表現を取り込み、また『源氏物語』の表現を通して後世の和歌に取り込まれていく、その交叉を浮かびあがらせ、王朝和歌史の中に『源氏物語』を位置づけることを目指す書です。

瓦井講師は、「『源氏物語』は古典の中でもとりわけ目立つ作品であるためか、その解釈にあたって他作品が考慮されることが少ないという現状があります。しかし、当時の表現と無関係であったはずがありません。そこで、同じ時代の表現に注目したところ、当時の和歌と重なる表現が多いことに気が付きました。そこを基点に『源氏物語』を解釈しようと試みました。また、『源氏物語』は書かれた当時から古典だったわけではありません。多くの読者に読まれ、読み継がれる価値があると各時代で認められることによって古典となっていきました。『源氏物語』はいかに古典となっていったのか、その非常にはやい段階について、和歌という指標を用いて考えています」と述べます。

本書については和泉書院のサイトをご覧ください。(http://www.izumipb.co.jp/izumi/modules/bmc/detail.php?book_id=130115&prev=new