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お知らせ就実公開講座

就実公開講座前期第5回 令和元年6月29日

2019-07-04

「影響力の心理学」

 

 鎌田 雅史(短期大学 幼児教育学科 准教授)

 

29日、台風号は東にそれたが、曇りで湿度の高い日となった。講座は、予定時間通り開始され、S101面のスクリーンを用い、パワーポイントを用いて進行した。講師の専門である社会心理学の立場から、日常生活での馴染み深い経験を対象にした合理的解釈が紹介された。今回のテーマは相手に及ぼす影響力の特質についてであった。影響力のある相手の「資源」の有効性に従って効果が発揮されることが基本である。分類としてまずは、「罰」「賞」、これらは、即時的効果が発揮されるが、その場しのぎのものになり易い。「資源」を有している限りは効果を得られるが、表面的な応諾しか得られないので、継続的に働き続ける必要があり、「資源」が枯渇すると効果が消滅し、反発・反撃などが発生する可能性がある。継続的な効果を与えるものは、「正当性」「敬意」などであり。これらは相手からの心からの同意を得ることができるが、その人の人格、裏表のない行動など全行動の積み重ねによる、周囲の対する豊かな配慮を必要とする。また、発する側の「魅力」は無批判な同意を生む可能性があり、自重と節制が必要とされる、乱用はまた影響力の消滅につながる。その外に、ロバート・B・チャルディーニの用例を紹介し、相手の罪悪感を悪用した、狡知に満ちた「理屈通りにいかない人間」の対人操作法の紹介があった。悪徳商法の技法に応用されているそうである。 

日常経験する「影響力」という問題を社会心理学の機能的説明によって説明をおこなった、興味深い講座であり、分かり易い日常語を用いて平易な説明を心掛けていた。