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表現文化学科学科行事

「就実表現文化のつどい2019 〜 声とことばをからだで磨く 〜」のご報告

2019-06-28

日程:2019年5月25日 ~ 2019年5月25日

 5月25日(土)に、「就実表現文化のつどい2019」が本学で開催されました。

 今年度のつどいは「声とことばをからだで磨く」と題した上演鑑賞とワークショップで、講師には関東から俳優多田慶子先生をお招きしました。

 

 多田先生は、早稲田小劇場で白石加代子氏らと共に国内外の公演にご出演なさり、退団後は【かもねぎショット】を創設、2010年からはソロ企画【ただ、独り】を立ち上げるなど、演劇・ダンスを長年にわたって発信し続けていらっしゃいます。私たちは、直接濃密にプロフェッショナルから学ぶことのできるつどい企画を心から楽しみにしてきました。 

 

 音楽ホールで開催された前半パートの上演鑑賞では、多田先生の動き回る語り「じごくのそうべい」を鑑賞しました。地獄に落ちた主人公たちが知恵を働かせ、地獄の窮地をくぐり抜ける様子がとても面白くおかしくてあっという間の30分でした。

 鑑賞の後は、舞台上に、講師多田慶子先生と身体表現ゼミ担当岡本悦子先生、そして私たち「就実表現文化だより」(学科で発行している小冊子)の編集員によるアフタートークを実施しました。

 

 講師がどんなきっかけで「じごくのそうべい」に出会い、上演するに至ったのか?田島征彦による絵本やその基になったといわれる落語「地獄八景亡者戯」を参考に作り上げたところはあるのか? 閻魔大王など、非実在の登場人物の動きはどこから着想を得たのか? など、様々な角度からの質問が、編集員や観客から飛び出しました。10分程の短い時間ではありましたが、貴重なお話を伺い、会場一体となって盛り上がり、理解も深まりました。

 

 後半のワークショップでは会場をダンス室に移し、実際に体を動かしながら、つどいのテーマである「声とことばをからだで磨く」を体験しました。参加者は、就実大学生有志に加えて、他大学生や地域の演劇・ダンス愛好者や指導者の皆さんの参加もありました。お互いを自分がつけた「呼んで欲しい名前」で呼びあって、年齢・性別・立場の垣根を越えて交流しました。また、いきなり声を出そうと思っても声は出ないので、まずはからだをほぐすことが大切だとおっしゃる多田先生。

 

 ふれあいのレクゲームから始まり、喜びの感情をつけて名前を呼びかけるなど、徐々にワークを深めてゆき、ワークショップの最後には、小グループで作品を創作し発表しました。テーマは「ラジオCMを作る」。3つの音(声で表現)と一言のセリフだけで場面を創作するものでしたが、たまたま同じ商品のCMに取り組んだ複数のグループでも全く違うものに仕上がりました。演者が声だけで表現した時より、実際にその動きをしながら声を出して行った方が、目を閉じて聴いても何を表現しているか伝わりやすい。つまりラーメンを食べる「ズズズー」という音も、「美味い」の台詞も、ラーメンをすする動きをしながらの方が、伝わりやすいことを知りました。

 

 今年度のつどいでは、うわべだけ外から借りてきた表現ではなく、演者自身が全身本気で感性をフル稼働して発信しなければリアリティは生まれないこと、かつ聴衆の想像力を刺激することができないことを改めて学びました。このことは身体表現分野にとどまらず表現分野全般にわたって重要な学びであったと思います。

 貴重な公演・指導をして下さった多田慶子先生と、携わって下さった皆様に深くお礼申し上げます。