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教育学専攻その他

「公認心理師」「臨床心理士」ダブル合格した修了生に聞きました(その2)

2019-06-12

 教育臨床心理学コースの修了生・Oさん(2期生)へのインタビュー【その2】です。就職した時の戸惑いがどのように変わっていったのか、その中で資格試験の受験勉強にどのように取り組んだのかについて聞きました。

※「その1」はこちらです

※昨年掲載した修了生(1期生)の記事はこちらです

―心理ならではの視点を活かして、他職種のスタッフと、子どもたちのことを話し合えるようになってきた…というのは、具体的にはどのような変化だったんですか?

 

 はじめは、生活場面での支援の経験が全くなかったので、どうしても「介助のしかた」にばかり気が向いていました。でも、だんだん一人ひとりの特性が見えてくるようになってきました。この子にはこういう行動パターンがあるな、こういう嗜好がある子だからそれに合わせてあげたらいいな、こういう声かけをすれば落ち着いて聞けるんだな、というように…その子の「内面を推測する」こと、と言ったらいいでしょうか。

 

―それはまさに、大学院で学んだ「心理アセスメント」(※注)が活かされる部分ですね。それから?

 

 病棟では一人の子どもに何人ものスタッフがかかわりますから、他職種のスタッフと共有して、より落ち着いて生活しやすいようなやり方を一緒に考えていきます。

 スタッフ同士で情報交換しながら実際の対応方針を考えていくんですが、同じ子どもの行動でも、いろいろな捉え方ができるんですね。たとえば、スタッフにきつい言葉をぶつけてくるような子がいるときに、周囲の状況が見えていないと捉えるか、スタッフを困らせたいんだろうと捉えるか、それとも寂しい気持ちがあるんだろうと捉えるか。その捉え方によって対応が変わってきます。

 また、集団生活なので、1人の子どもの行動を尊重してあげたくても、他の子には迷惑になるという場合もあります。そういう時に、いかに集団の中でやりくりするか。

 

―「コンサルテーション」(※注)にもつながってくるわけですね。子どもたちの集団、スタッフのチームの中に身を置いて、対応を考えていくというのは、1対1での対応とはまた違う難しさがあるのでは? 

 

 はい。スタッフにはそれぞれの専門、経験、信念があるので、全員の対応を一致させていくのは簡単ではないです。が、話し合いのなかで、自分が心理職としてどんなふうに子どもの内面を推測しているかという見方を、少しずつ伝えるようにしています。

 そうしていると、同僚の看護師さんに「Oさんが病棟に勤務している2年の間に、私たちも子どもの心理的な理解のしかたを勉強したい」と言ってもらえて。特に心理的理解に基づいたケアが必要な子どもたちを私が担当しやすいように調整してもらえた、ということもありました。

 

―なんと、それは嬉しいことですね!

 

 …と言っても、はっきり自信をもって自分の見方を伝えられるわけではなくて、しどろもどろになりながらなので。あまりかっこよくないんですけど(笑)

―その正直さが大事なのかもしれませんね。そんなふうに毎日お仕事をしながら2つの試験に合格されたわけですが、受験勉強はいつから始めましたか?

 

 昨年の5月下旬です。受験の申し込みを済ませたタイミングで始めました。

 

―どんな勉強をしましたか?

 

 参考書を買って、まず毎日読みました。仕事のある日は一日2,3ページでも、休日にまとめて時間をとって、とにかく毎日少しずつでも進めるようにしました。2回目はアンダーラインを引きながら、3回目はノートにまとめながら読みました。

 それから問題集も何度も解いて、インターネットで情報収集もしました。関連する法律もたくさんあるので、特に重要なものは覚悟を決めて暗記しました。あまり学んだことのない分野もあったので、そういうところを徹底的にやりました。

 

―後輩におススメする工夫などありますか?

 

 私は家では勉強できないので、よくカフェを利用していました。環境による違いは大きいと思います。それから、苦手なものは後回しにせず最初にやっておくこと、自分のための「まとめノート」を作ることはおススメです。

 

―資格試験に限らず、あらゆる学習場面に通じそうな知恵ですね。ありがとうございました!

 

※注:心理士(師)の仕事として、一般的に最もイメージされやすいのは、問題や悩みを抱えている本人と直接お会いしてお話をする「心理面接」「カウンセリング」ですが、実際にはそれだけではなく、その人の心理状態を知り理解しようとする「アセスメント」や、その人にかかわる他の支援者等と協力し一緒に対応を考える「コンサルテーション」なども、心理士(師)の基本的で重要な仕事です。

 

(完)