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教育心理学科その他

リレーエッセイ 「心理学とわたし」

2018-10-24

教育心理学科は、養護教諭や特別支援学校教諭の養成課程のある教員養成系学科ですが、同時に、認定心理士資格が取得できる教育系の心理学科でもあります。

 

本学科において心理学は、養護と特別支援という2つの領域を仲立ちする学問領域と位置づけられます。心のケアもできる養護教諭、心理療法の知識を備えた特別支援学校教諭が育ってほしいと考えています。

 

もちろん、大学院に進学し臨床心理士養成課程を修め、心理臨床の専門家として活躍することも期待しています。というわけで、教育心理学科の学生は、何らかの形で心理学とかかわりますし、学科所属の教員も、専門こそ違いますが、多かれ少なかれ心理学と接点をもっています。

 

そこで、在学生や高校生が心理学により興味をもったり、教育心理学科への関心が深まることを期待して、学科教員がそれぞれの立場で心理学とのかかわりについてリレーエッセイの形で語ることにしました。

 

心理学とわたし 岡 綾子

私の専門は特別支援教育です。長い間、特別支援学校の教員としてたくさんのユニークな仲間たちと関わってきました。その関わりの中で、「もっとこの人たちができることが増えたり、生活しやすくなったりするために何ができるか」が知りたくて、大学院や様々な研究会に通うようになりました。

今にして思えば、「人についてもっと知りたい」という、心理学との関わりの最初の一歩だったのかもしれません。

そこで出会ったのが、行動分析学という学習心理学の一派である学問です。「私たちがどうしてある行動をするようになったのか、あるいは、どうしたらある行動をするようになるのか」―これを、障害等の個人の特性のせいにすることなく、環境との関わりの中で見出していこうとする考え方は、特別支援教育とぴったりマッチするものでした。

特別支援教育では、何らかの生きづらさのある子どものニーズに合わせて必要な指導や支援をしていきます。それが「生き物の意識や行動の研究をする」心理学の考え方と共通していたからかもしれません。

それから現在に至るまで、「行動分析学を用いた障害のある子どもの支援」をテーマに研究を続けています。子どもたちに様々な指導や支援を行っていますが、逆に子どもたちから、人間の奥深さや力強さについて教えられることしきりです。

大学の「知的障害の心理学」や「病弱児の心理」の心理学に関わる授業において、子どもたちから教えてもらったことを学生に伝え、様々な子どもの障害への理解を広めていきたいと考えています。