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表現文化学科その他

公開学術講演会 詩人 伊藤比呂美氏「いたるところに詩がある」

2015-11-26

今年度の表現文化学会総会では、現代詩人としてその活動が注目されている伊藤比呂美氏をお招きした。彼女は、1980年代初頭に起きたいわゆる「女性詩ブーム」の皮切りとなった存在。以後、旺盛な創作活動を展開しているが、その活動は狭い現代詩ジャンルに止まるものではないのは周知のとおりで、『よいおっぱい、悪いおっぱい』のような育児書をはじめとして、少子高齢化社会では避けて通れない介護問題、女性の生理のこと(『閉経期』)、または長年新聞連載を続けている人生相談等、多岐にわたっている。

 

 

伊藤氏の本来のフィールドはもちろん文学だが、それを拠点として人生諸事全般にわたる執筆活動を続けているのが多くの読者の支持を得る所以だろう。その証拠として、今回の講演でも30人以上の一般来場者があった。それだけではなく、講演終了後の質疑応答でも、学生や一般来場者からの活発な質問が寄せられた。伊藤氏自身の感想によれば、「これは他大学ではあまり見られなかった」とのこと。アメリカへ帰るフライトの都合もあり、あまり時間的余裕が取れなかったが、それでも、著書にサインを求める参会者に丁寧に応じてくれたのが印象的であった。なお既に多くの受賞歴がある氏だが、今回の講演の直前に「第5回早稲田大学坪内逍遥賞大賞」を受賞。これは、村上春樹、小川洋子氏らが受賞しているが、この受賞が本大会に行きあったのも記念すべきことだろう。