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表現文化学科講演会・集中講義等

観世流能楽師 片山伸吾氏講演会「能における感情表現」

2012-11-12

11月10日(土曜日)に平成24年度表現文化学会の公開学術講演会を開催しました。今回は観世流能楽師準職分片山伸吾氏を講師におまねきして、能鑑賞の基本を説明していただきました。

 

片山氏は昭和43年生まれの44才。祖母は人間国宝の四代目井上八千代氏、伯父は人間国宝九世片山幽雪氏です。幼少から能の指導をうけて、初舞台は3才でした。以来たゆまぬ研鑽を積まれ、若手能楽師の中心として能楽の発展に尽力されています。氏の活動は、国内にとどまらず国外にも及んでいて、デトロイト日本商工会議所25周記念事業の能楽公演、カーネーギーホール主催のジャパンフェスティバルなどに出演されています。加えてイエール大学など各地で、ワークショップを開催していらっしゃいます。

 

 

本学の講演では、現代、疎遠になりつつある能楽の鑑賞のポイントを解説していただきました。まず、能楽の歴史の粗描から始まりました。庶民を相手に登場した能楽は、世阿弥の時代に芸術性を追求するものに変化し、それが現在にまで継承されているとのことです。ご持参の能衣装や面を示されながらの説明は、具体的でわかり易いものでした。豪華な能衣装を間近に見ることなど、たえて日常では経験できないことなので、聴講者全員が見入っていました。若女、般若の面を提示して、面の傾け方によって面の表情が変化するという説明もまた興味深いものでした。舞台にあがり、実際に面をつけた学生が二名いましたが、得難い経験だったでしょう。狭い急ごしらえの舞台でしたが、テンポの速い舞をまっていただき、最後に、高砂「四海波」を詠っていただきました。会場全体を満たす気魄と深みに全員が釘付けになりました。充実した時間がすごせました。