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【研究こぼれ話】浅利尚民 教授:地道に研究を継続していくことの重要性

岡山の美術館に就職して数年経ったころ、旧岡山藩主池田侯爵家の宝物類(現在でいう文化財)に興味を持ち研究を開始した。ほどなく、明治の初めごろに池田家が作成していた道具帳や、家の運営を行うための規則を記した史料にたどり着いた。しかし、宝物類を管理していた池田家の事務所が岡山市内のどこに所在していたのか、言い換えれば、どこで道具帳を作成し宝物類を管理していたのかについては、分からずじまいに終わった。ところが4年ほど前に、すでに調査済みだった池田家の財産に関する史料を再確認したところ、そこに事務所の住所が明記されていたことに気づいた。さらに関連資料を精査すると、当時の池田家事務所は、現在の岡山市北区表町2丁目の宇野自動車株式会社(宇野バス)の敷地にあったことを突き止めることができた。

 

今から思えば、史料自体は20数年前にすでに見つけていたのだが、当時はそこに書かれていることの重要性を理解できていなかった。その後に四半世紀近く研究を続けた結果、ようやく事務所の所在地という、近代池田家の研究における基本的な事実を確定することができたのである。地道に研究を継続していくことの重要性に、改めて気づかされた出来事であった。

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