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薬学科 研究・産学連携
【薬学部】渡邊 政博 准教授・豊村 隆男 准教授・森 秀治 教授らによる、血圧の薬が持つ「隠れた作用」と副作用の関連についての研究成果が国際学術誌に掲載されました
2026-07-10
就実大学薬学部 薬理学研究室の渡邊 政博 准教授・豊村 隆男 准教授・森 秀治 教授らの研究グループは、高血圧の治療に広く使われている薬の一部が、体内の有害物質を掃除する酵素「グリオキサラーゼⅠ(GLO1)」の働きを邪魔してしまうことを発見しました。さらに、この現象が糖尿病の患者さんにおける副作用のリスクに関わっている可能性を明らかにしました。本研究成果は、アメリカ薬理学会(ASPET)が発行する国際学術誌「ASPET Discovery」に2026年4月24日付けで掲載されました。
■ 体内の「お掃除係」GLO1と、有害な「ゴミ」の関係
私たちの体が糖をエネルギーに変えるとき、ごくわずかに「メチルグリオキサール(MGO)」という有害な副産物(ゴミ)が発生します。このゴミがたまると「終末糖化産物(AGEs)」という物質に変わり、細胞を傷つけてさまざまな病気の原因になります。
通常、体内ではGLO1という酵素がお掃除係として働き、この有害なゴミを分解して私たちの体を守っています。
■ 研究でわかったこと:血圧の薬が「お掃除」を邪魔する?
研究グループは、血圧を下げるために非常によく使われる「アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)」という種類の薬に注目しました。
7種類のARBを詳しく調べたところ、すべてのお薬にGLO1の働きを抑えてしまう作用があることが判明しました。特に「テルミサルタン」という薬は、他の薬に比べてヒトのGLO1を強く阻害することが分かりました。
■ 糖尿病患者さんへの影響と、より安全な薬選びへ
次に、日本の副作用データベース(JADER)を用いて膨大なデータを解析したところ、テルミサルタンを使用している患者さんでは、肝臓や腎臓の障害などの副作用が報告されやすい傾向があることが分かりました。
特に、もともと体内に糖の「ゴミ」がたまりやすい状態にある糖尿病の患者さんにおいて、その傾向がより強く現れていました。
今回の発見は、薬が本来の目的(血圧を下げる)以外に持つ「隠れた作用」が、患者さんの体質や病状によって副作用を引き起こす引き金になり得ることを示しています。将来的に、一人ひとりの患者さんにとってより安全で最適な治療薬を選ぶための基準となる可能性のある研究成果です。
■ 論文情報
論文名: Association of glyoxalase I inhibition by angiotensin II receptor blockers with adverse events in diabetic patients
掲載誌: ASPET Discovery, Volume 2, 2026, 100021
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S3050567426000027
著者: Watanabe M, Toyomura T, Onitsuka M, Wake H, Nishinaka T, Takahashi H, Nishibori M, Mori S
