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お知らせ 就実公開講座

就実公開講座前期第1回 令和4年6月4日

2022-06-06

「静止画が動く-絵巻物の表現の可能性-」

                          川崎 剛志(人文科学部 表現文化学科 教授)

 

2年半ぶりに就実公開講座が開催されました。2022年度前期講座は人文科学部表現文化学科による「動きの表現史」をテーマに開催し、第1回は、中世文学が専門の川崎剛志教授より「静止画が動く―絵巻物の表現の可能性-」の講座が行われました。

 巻子本(絵巻物)の持つ、糸で綴じた書物や今日の経などの折本とは異なる特徴として、保存性(絵具が剥がれ難い等など)、表現性(横の長さを活用した時間経過や空間的広がり、物語の創出性など)が紹介されました。

この絵巻物に集約されている豊かな情報やメッセージ力は、映画監督でありアニメ演出家でもある故高畑勲が、平安末期から鎌倉前期にかけて作られた絵巻物を「十二世紀のアニメーション」と称するほどで、今日の映画やアニメづくりも生かされている日本の伝統的な表現と言えます(参考:高畑勲「十二世紀のアニメーション国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの」(徳間書店、1999年))。

講座では、平安時代末期の「信貴山縁起絵巻」や鎌倉時代後期に描かれた「春日権現験記絵巻」のいくつかの作品について、その構図、描かれている情景、物語、作者の意図などが解説されました。また、実際に、「信貴山縁起絵巻」の複製を紐解きつつ描かれている内容が解説され、巻子本の周りに集まった約30名の受講生は熱心に聴講し、活発な意見交換が行われました。