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吉備地方文化研究所 イベント

講演会 赤澤春彦氏「安倍晴明伝説の展開」を開催しました。

2022-05-21

 2022年5月21日(土)吉備地方文化研究所 『実隆公記』を読む会では、陰陽道研究の第一人者である赤澤春彦氏(摂南大学 国際学部 教授)をお招きして、特別講演会を開催しました。

日時:2022年5月21日(土) 13:00~15:00

形式:オンライン開催(zoom)

講師:赤澤春彦氏(摂南大学 国際学部 教授)

演題:「安倍晴明伝説の展開」

 赤澤氏はまず、近年における安倍清明ブームについて触れ、実はそれが歴史上、何度か起こってきた現象であったことを説明されました。安倍清明自身は、たしかに優秀な陰陽師でしたが、むしろ実務的な官僚であり、のちに言われるような霊力・呪力を発揮した存在ではありませんでした。

 平安末期、安倍晴明の子孫にあたる安倍泰親は、家の存続をかけて縦横無尽に活動を展開しますが、そうした過程において、安倍晴明にまつわる「第一次伝説」が形成されていきます。いわば、泰親の喧伝により、晴明の呪的・霊的な側面が強調されていくわけです。

 やがて、14世紀末期には密教系・念仏系・禅宗系の僧侶らにより、仏教的な観念が加味されて「第二次伝説」が形成されていきます。その中でも晴明の呪的能力は否定されず、また安倍家の側でもそれに異を唱えることはなく、むしろそれを利用していきました。

 この段階を経て、近世の文学作品や演劇において安倍晴明のイメージが定着し、その延長上に現在のブームがあるのではないかと説明され、講演は終了しました。

 終了後には、安倍晴明が使役した式神の源流、第一次伝説の形成期における他主体の動向、地方における陰陽師の活動の痕跡などについて、活発な質疑がなされました。