瓦井裕子講師が、第13回中古文学会賞を受賞しました。

この賞は、45歳以下の研究者によって昨年度発表された中古文学についての論文の中から授与されます。

対象となった論文は、「『為信集』成立年代の再検討」（『中古文学』第104号　2019年11月）です。『為信集』は紫式部の祖父・藤原為信の家集とされ、『源氏物語』と特徴的なモチーフが共通することから、紫式部が『為信集』から素材を取り入れて『源氏物語』を執筆したとも考えられてきました。瓦井講師はこれに対し、『為信集』が『源氏物語』成立から約200年ほど後に成立したことを示し、『為信集』は鎌倉初期～前期にかけて活発であった『源氏物語』享受の一例であると位置づけました。

瓦井講師は、「『為信集』の成立年代について示した説が評価され、嬉しく思います。『為信集』はまだまだ分からないことが多い作品ですので、これを機に議論が活発になることを願っています」と述べています。