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就実公開講座後期第4回 令和元年10月12日

2019-12-02

「食肉流通の現状」

 

 寺前 俊孝(経営学部 経営学科 講師)

 

当日は台風による悪天候にも関わらず、18名の参加者があった。はじめに、食肉に関わる商業統計調査(2016年度)の結果より、卸売業の事業所数、従業者数、年間商品販売額は減少傾向で推移しているが、食肉消費量は増加傾向にあり、豚肉、鶏肉は増えているものの、牛肉の消費量は減少しているとの分析結果を示された。続いて、食肉購買行動の現状を紹介され、食肉購入時の重視項目は、価格、国産、鮮度、産地・銘柄(ブランド)であり、BSEや鳥インフルエンザの発生、食中毒事件などが消費者の食肉消費に影響を与えていることを考えれば、その不安を取り除くことが重要であるとのお話をされた。

 

次に、アンケート調査結果の概要として、東海3県(愛知、岐阜、三重)の食肉卸売業者を対象にアンケート調査を実施(20159月~12月。配布枚数170枚、回数枚数79枚。回収率:46.4%)した結果、業歴は40年超が半数を超えている、従業員数は100人以下が8割以上を占める、取扱商品は牛肉に比べて豚肉や鶏肉の扱いが多い、取扱形態は部分肉・冷凍の取扱いが多い、売上に占める輸入肉の割合は10%以下が過半数であること等を紹介された。また、仕入と販売に関する調査では、仕入時に重視する点は価格が最多であり、販売先は小売業が最多、販売先数では、50社超が半数弱で2次卸売業者が多いと考えられること、販売時に重視していることは、第1に価格、第2に衛生管理、その他、肉色、産地銘柄、脂肪交雑の順であった。また、パック詰めの取扱いは6割弱が取り扱っていること、自主企画の商品の販売は6割強が販売しており、種別内容は食肉加工品、食肉総菜、自社ブランドの銘柄牛の順であった。全体の53.5%が食肉卸売業以外の業務を行っており、業務内容としては精肉専門店が最多で、続いて外食業であった。最近の傾向として、仕入価格と商品販売価格、商品取扱数量、商品取扱品目数、販売額、利益率や経営状況について紹介された後、経営方針としてすでに取り組んでいること、今後取り組みたいこと、現在と今後や新規参入を希望している事業や今後の輸入食肉の取り扱いの結果を紹介された。

 

講演の後半は、卸売事業、肥育事業、食肉加工品の製造・販売について等のインタビューによる事例を紹介された後、全体からみえる傾向として、加工度の向上、生産者との連携、事業の多角化、展望として他の事業への取組み、安全性、顧客との関係性向上に向けて、地元ブランド食肉の認知度向上や地域との連携に触れ、生産から販売まで一貫として行う取り組みは、食肉の生産と流通を一つの産業としてとらえる上で重要であり、今後の食肉卸売業者の一つの方向性であるとのお話で締めくくられた。