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総合歴史学科 授業・課外研修など

2019年度 櫻田ゼミ・渡邉ゼミの合同ゼミ旅行の記事を掲載しました。

2019-09-12

 2019957日、櫻田ゼミと渡邉ゼミは長崎方面のゼミ旅行を合同で実施しました。櫻田ゼミは、2年に一度、長崎方面にゼミ旅行を行っており、今年度はその実施の年にあたります。渡邉ゼミは2018年度に長崎方面のゼミ旅行を計画しましたが、台風の影響により断念しました。行先が同じであることもあり、今年度は櫻田ゼミと渡邉ゼミの学生有志(21名)が参加する旅行を企画しました。

 一日目は、九州沖を北上する台風の動きを気にしつつ、岡山駅を早朝に新幹線で出発しました。博多駅で特急に乗り換えて佐世保駅に到着した後、午後から貸し切りバスで平戸に向かいました。平戸では、まず平戸オランダ商館を見学しました。オランダ商館は16091641年にオランダ東インド会社が使用した貿易拠点で、現在では当時使用されていた倉庫が復元されています。倉庫の内部にはオランダ商館の生活や東アジアの海洋貿易に関する史料が展示されており、それらを学芸員(出口洋平氏)の説明を聞きながら見学しました。

 平戸オランダ商館の見学後、ウィリアム・アダムスの墓と平戸ザビエル記念教会を訪ねました。ウィリアム・アダムスは江戸時代初期に徳川家康に仕えたイギリス人で、三浦按針の名でも知られています。彼は神奈川県三浦郡に領地を与えられましたが、その生涯を平戸で閉じました。

 ザビエル記念教会は1931年に建てられたカトリック教会です。この日は講堂の内部に入ることはできませんでしたが、教会の外観やフランシスコ・ザビエルの像を見学しました。当初は、ウィリアム・アダムスの終焉の地や王直(後期倭寇の頭目)の屋敷跡も見学する予定でしたが、残暑の厳しさにかなわず断念し、佐世保市内に引き返しました。

 二日目は、午前に海上自衛隊佐世保史料館(セイルタワー)を見学した後、佐世保駅からハウステンボス駅に移動しました。ハウステンボスの街並みは、オランダに現存する歴史的建造物をモデルにつくられています。なかでもパレスハウステンボスと呼ばれる建物は、オランダ王室が所有するハウステンボス宮殿を模したものです。オランダでは新たな内閣が発足する際に、ハウステンボス宮殿の正面階段に国王・首相と閣僚が並んで記念撮影を行います。あいにくパレスハウステンボスの正面階段に昇ることはできませんでしたが、我々もオランダの新内閣発足にならって記念写真を撮りました。午後は櫻田教授が作成した資料(ハウステンボス内の建物とそのモデルとなった歴史的建造物の対照表)を片手にハウステンボス内を自由に散策しました。

 三日目は、午前にハウステンボス駅を出発し、長崎駅に向かいました。列車の都合で予定よりも遅れて到着した後、さっそく出島を見学しました。出島はオランダ商館が平戸から移転した後の貿易拠点としてよく知られています。現在は発掘調査の成果に基づいて当時の建物を忠実に復元する「出島復元整備事業」が進められています。我々は櫻田教授の解説を聞きながら園内をめぐり、復元された建物や古伊万里をはじめとする出土品を目にすることができました。

 午後は長崎市内を自由に散策しました。学生たちはグラバー園や長崎新地中華街などを訪れたようです。この時間を活用して、渡邉ゼミは長崎孔子廟を見学しました。この孔子廟は1647年に創設された長崎聖堂という学問所のながれを汲み、1893年に日本在住の中国人が清王朝の協力を得て建立されました。敷地内には中国歴代博物館・長崎孔子廟史料館が併設されています。前者は中国各地の博物館から文物を借り入れて常時展示する施設で、当日は硯や筆置きなど歴代の筆記用具を見ることができました。後者は孔子廟の所蔵品を収蔵しており、祭祀に使用する青銅器なども展示していました。夕方、長崎駅に再集合した後、特急で博多駅に向かい、新幹線に乗り換えて岡山駅で解散しました。

 今回のゼミ旅行を通じて、日本とヨーロッパ・東アジアの交流の歴史を実地で学ぶことができました。懸念された台風の影響も少なく、おおむね順調に見学することができました。この経験を学生たちが今後の学習や卒業研究に大いに役立てることを期待したいと思います。

(文責:渡邉)